1992 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎の進行と歯槽骨骨髄の免疫応答ー特に骨頂部線維芽細胞の活性能の測定
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04671152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大家 清 東北大学, 歯学部, 教授 (00005042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 健 東北大学, 歯学部, 助手 (30233597)
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Keywords | 歯周炎 / 組織化学 / 核小体形成部 |
Research Abstract |
歯周組織を炎症の場として,急性期をへて慢性期へと進行する歯周炎は,終局的には歯槽骨の吸収として現れ,機能の損失を来す。本研究では,歯周炎による歯肉および歯槽骨での既存の組織の破壊と修復のメカニズムを,構成している細胞の局在とその活性能の測定より検索した。実験系:成犬11頭を用い,歯肉縁下縫合系結紮群,6月後縫合糸除去群を実験材料とした。その結果,病理組織学的に,1.炎症による結合組織の破壊は,上皮の増殖・伸長により速やかに補填された,2.歯槽骨の破壊は歯周ポケット上皮の増殖・伸長と肉芽組織により補填された,3.骨髄炎は歯槽骨頂および歯根膜側より波及した。本実験系はヒト類似の歯周炎と考えられた。細胞の活性能の検索:1.歯肉上皮;歯肉の接合上皮尖端を中心に半径0.8mmの円内の上皮成分の鍍銀染色による核小体形成部(AgNORs)数を計測すると,(1)正常の歯肉内縁上皮のAgNORs数は尖端部でやや多く,基底細胞層では歯質測より多かった,(2)結紮群では,経過に伴いAgNORs数は接合上皮およびポケット上皮で増加し,上皮各層間ではAgNORs数の分布の規測性はみられなかった,(3)除去群では除去期間の経過に伴い,接合上皮の占める割合がポケット上皮に比べ多くなり核1個あたりのAgNORs数は減少し,除去1月で基底細胞層のAgNORs数が減少し,6月で基底細胞層では歯質側より多くみられた。2.線維芽細胞;歯周炎の病変部での線維芽細胞のAgNORsの検索では,炎症性細胞の推移との関連がみられ,炎症の進行と治癒が線維芽細胞の活性能をよく表現していた。また,葉槽骨骨髄炎は歯周炎の進行を急速にした。ヒト材料:歯周炎の最初の骨破壊部位は,骨髄腔の開口の多い槽間中隔部であることが多かった。考察:歯周炎の進行の防御には,歯肉内縁上皮の深部への増殖因子の除去,槽間中隔部での線維芽細胞による歯槽骨骨髄炎への炎症波及防止が重要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 阿部 洋一郎: "実験的辺縁性歯周炎の接合上皮尖端での上皮の動態ーとくにAgNORsの推移について" 東北大学歯学雑誌. 12. (1993)
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[Publications] 大家 清: "口腔診断学ー歯周組織の成熟と老化" デンタルダイヤモンド社, 747 (1992)