1994 Fiscal Year Annual Research Report
歯科修復用コンポジットレジンの接着耐久性に関する新しい評価試験方法の試み
Project/Area Number |
04671154
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
福田 秀昭 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (50014163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 正洋 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (10013971)
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (70108223)
宮入 裕夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (50013892)
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Keywords | 打ち抜きせん断試験 / 接着耐久性試験 / せん断強さ / 疲れ強さ / 辺縁封鎖性 |
Research Abstract |
修復用コンポジットレジンの接着強さ評価試験法として,咀嚼に伴う咬合力を想定した打ち抜きせん断試験および耐久性試験を行い,コンポジットレジンと歯質との接着強さについて基礎的な検討を行った.本研究で採用した打ち抜きせん断試験法は4種類の被着材に円柱状の窩洞を形成し,コンポジットレジンを充填した試験体を圧子により打ち抜き接着強さを求める試験方法である.また,耐久性試験は2種類の被着材について,打ち抜き試験と同様に,円形状の窩洞を形成し,コンポジットレジンを充填した試験体に一定荷重を繰返し負荷し接着耐久性を評価する試験方法である. その結果,打ち抜きせん断試験で得られたせん断強さはエナメル質で最も大きな値を示し,エナメル質/象牙質,象牙質の順に減少する.エナメル質/象牙質のせん断強さは,エナメル質単体に比べ化学重合型レジンでは45%,光重合型レジンでは29%減少し,エナメル質を含んでいるにも関わらずかなり小さな値を示した.これは,象牙質の接着面積がせん断強度低下に大きく影響しているものと考えられる.そこで,エナメル質/象牙質試験体についてせん断力が作用する場合について検討した.その結果,計算で求めた見掛けのせん断強さは実験で得られたせん断強さとほぼ同じ傾向を示した.これにより象牙質の接着面積は見掛けの接着面積に比べ小さくなっているものと推定できる.また,打ち抜きせん断試験片にはコンポジットレジンと象牙質との接着界面に引張応力の影響によると見られるギャップが観察され,このギャップが接着面積減少の要因となり強度低下を招くものと考えられる.耐久性試験では,両レジンとも接着界面の辺縁封鎖性は低下し,コンポジットレジンと歯質との界面には繰返し荷重によるはく離が発生し耐久性は低下する. この様に,本研究で採用した打ち抜きせん断試験および耐久性試験法は,コンポジットレジンの接着特性を評価する有効な試験方法であると考える.
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