1992 Fiscal Year Annual Research Report
アマルガム修復物に存在する水銀の生体への蓄積と影響について
Project/Area Number |
04671200
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 好文 愛知学院大学, 歯学部・歯科理工学講座, 助教授 (00090142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴田 昌三 愛知学院大学, 歯学部・歯科理工学講座, 助手 (40183488)
亀山 洋一郎 愛知学院大学, 歯学部・病理学講座, 教授 (70113066)
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Keywords | アマルガム / 妊娠ラット / 胎児 / 臓器中水銀濃度 / 脳 / 肝臓 / 腎臓 |
Research Abstract |
歯科用アマルガムが妊娠ラットならびに、その胎児の臓器中水銀濃度に及ぼす影響について、アマルガムを充填する歯数を変化させ検討した。実験動物として生後11週令のSD系雌性ラットを使用した。妊娠1日目のラット32匹を8匹から成る4群に分け、1群は無処置の対照群、2〜4群は上顎臼歯咬合面にアマルガムを充填する実験群とし、2群は1歯、3群は2歯、4群は4歯に充填した。アマルガム用合金は高銅型を使用した。妊娠20日目に麻酔下で右心耳から放血屠殺すると同時に、左心房から生理食塩液を注入し臓器の還流を行なった。還流後、母親と胎児から脳、肝臓および腎臓を取り出し72時間凍結乾燥後、粉砕した。総水銀の測定は加熱気化装置に水銀分析計を接続して行なった。測定は一試料につき2回行なった。母親の場合、実験群(2,3,4群)の脳、肝臓および腎臓中の水銀濃度は対照群(1群)と比較して高く、各臓器ともに危険率1%で有意な増加が認められた。またアマルガム充填の増加とともに各臓器中水銀濃度の上昇がみられたが、実験群間での有意な増加は脳の2群と3群が危険率1%、3群と4群が危険率5%で、さらに肝臓の2群と3群が危険率5%で認められたが、3群と4群および腎臓では認められなかった。胎児の場合、実験群(2,3,4群)の脳、肝臓および腎臓中の水銀濃度は対照群(1群)と比較して高く、各臓器ともに危険率1%で有意な増加を認め、母親と同様の結果が得られた。しかしながら、アマルガム充填の増加にともなう各臓器中水銀濃度の上昇は著明ではなく、実験群間での有意な増加は脳の2群と4群、腎臓の2群と4群が危険率1%、腎臓の3群と4群が危険率5%で認めたが、肝臓では認められなかった。アマルガム修復物の面積と母親、および胎児の各臓器中水銀濃度の関連性について検討した結果、母親および胎児ともに両者間に正の相関性(危険率1%)が認められた。
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