1992 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜疾患のレクチン結合性とケラチン局在性の免疫学的解析と臨床診断への応用
Project/Area Number |
04671214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸茂 町子 東北大学, 歯学部, 講師 (10005027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三條 大助 東北大学, 歯学部, 教授 (70013943)
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Keywords | 扁平苔癬 / レクチン結合性 / 口腔粘膜 |
Research Abstract |
口腔粘膜疾患は、水疱、びらん、潰瘍、白斑等の病態を示すが、病因は多岐にわたり、局所的な原因から自己免疫疾患などの免疫異常、内臓病変やアレルギー、細菌やウイルス感染症などがあり、鑑別診断が非常に困難である。そして、経過が長く、経過中に悪性化を示すものもあるため患者の精神的、身体的負担は非常に大きい。そこでより早く確実な診断法を確立するために、粘膜疾患の病態を免疫組織学的手法を用いて解析した。即ち、粘膜細胞の分化の状態や病的な状態、あるいは腫瘍化によって、その構成ケラチン分化に変化をきたすこと、細胞や組織に存在する複合糖質の糖鎖構造が組織形成や細胞レベルでの認識過程で重要な役割を演じ、細胞の分化、加齢、悪性化に際して、その細胞の持つ糖鎖も変化することに着目し、まずはじめに、この糖鎖と特異的に結合する種々のペルオキシダーゼ標識レクチンを用いて、今回は、口腔粘膜扁平苔癬の病態により、糖鎖の質的、量的変化や分布様式を観察した。結果は、正常粘膜においては、錯角化層と基底膜に陽性反応を示したが、扁平苔癬においては病態により異なり、レース模様が鮮明で発赤が少なく、良好な経過をとった症例では上皮全層にわたり細胞膜に陽性を示し、さらに、基底膜にも陽性を示した。これに対し、発赤が強く難治性の症例では上皮全層の細胞膜、細胞間橋および細胞質にも陽性反応を示し、さらに、結合織内のリンパの一部と血管周囲にも陽性反応を示した。一方、基底膜には陽性反応を示さなかった。以上、糖鎖の分布は、正常粘膜と扁平苔癬では質的にも量的にも異なり、さらに、扁平苔癬の病態によっても異なることが分かった。この結果により、予後の判定などの診断への応用の可能性が示唆された。また、ケラチンの局在については、各種抗ケラチンモノクローナル抗体を用いて検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 丸茂 町子: "口腔粘膜扁平苔癬の組織化学的研究 レクチン結合様式の検討" 第47回日本口腔科学会発表予定(1993、5、13).
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[Publications] 菅原 由美子: "口腔粘膜扁平苔癬の組織化学的研究 SS基とSS結合の挙動と表面微細構造の検討" 第47回日本口腔科学会発表予定(1993、5、13).
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[Publications] 古内 寿: "口腔粘膜扁平苔癬の組織化学的研究 ケラチンの局在の検討" 第47回日本口腔科学会発表予定(1993、5、13).