1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671222
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白砂 兼光 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30093420)
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Keywords | 口腔癌 / 唾液腺腫瘍 / 癌浸潤機構 / 細胞外基質 / 細胞外基質分解酵素 / プロテアーゼインヒビター / モティリティ因子 |
Research Abstract |
本研究は癌浸潤抑制治療法の確立のため、口腔癌特に、口腔扁平上皮癌と腺様嚢胞癌細胞の浸潤機構を明らかにするために行なわれており、現在までに得られた結果は以下のごとくである。口腔組織由来各種癌細胞のプロテアーゼの発現は多様性を示し、扁平上皮癌細胞株では強いウロキナーゼ(uPA)活性を示すがメタロプロテアーゼの発現は弱かった。一方、腺様嚢胞癌細胞はuPAに加えてゼラチナーゼ(MMP-2とMMP-9)を強く発現していた。コラーゲンゲルを用いた浸潤モデルにおける扁平上皮癌細胞の浸潤はuPAの発現と極めて相関し、上皮成長(EGF)によって促進されることがわかった。この実験系においてデキサメサゾンを添加すると癌細胞浸潤は著明に抑制され、その機序にuPAの抑制とプラスミノーゲンアクチベーターインヒビターI型(PAI-1)活性の促進が関与することが明らかとなった。腺様嚢胞癌は細胞外基質を多量に産生する特性を持つ一方で、線維芽細胞や筋肉細胞の産生した細胞外基質を主としてuPA-プラスミンカスケードを介して強く分解する。腺様嚢胞癌細胞の産生した細胞外基質はPAI-1を多量に有しており、癌細胞による分解をうけにくく、周囲に蓄積され、ハプトタキシスとして癌細胞の浸潤を助けていることがわかった。さらに、腺様嚢胞癌細胞がモテイリテイ因子を自己分泌していることを示唆するデータを得、現在この因子を分離・精製中である。また扁平上皮癌細胞をコラーゲンゲル内で線維芽細胞と混合培養すると癌細胞浸潤が促進されることを見出し、この機序に線維芽細胞が産生するモテイリテイ因子の関与が示唆されたので、この因子についても分離・同定を試みている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Shirasuna K,M Saka,et al.: "Extracellular matrix production and degradction by adenoid cystic carcinoma cells:participation of plasminogen actiuator and its inhibitor in matrix" Cancer Research. 53. 147-152 (1993)