1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671236
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
砂川 元 琉球大学, 医学部, 助教授 (30112452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新崎 章 琉球大学, 医学部, 助手 (00175960)
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Keywords | 舌・口底・下顎歯肉癌 / 術後言語機能 / 100音節発語明瞭度 / 超音波診断装置 |
Research Abstract |
我々は、舌・口底・下顎歯肉癌の術後言語機能をより重度にする要因として1)舌・口底の侵襲の程度。 2)残存舌可動性の障害(主に動く早さの障害)、によるものと報告してきた。今回は、舌・口底・下顎歯肉癌切除後の言語機能における残存舌、下唇、下顎により代償性の有無について検討した。 方法)1.構音機能検査として100音節発語明瞭度(以後発語明瞭度)を判定した。 2.切除物の写真より舌縁部、口底部、下顎骨部の各切除面積を測定した。 3.超音波診断装置による残存舌可動性を検索する。 4.ダイナミック・パラトグラムより構音時の舌運動を健常人と比較し評価する。 5.ビデオ録画システムより構音時の下唇、下顎の動きを検索し代償性の有無を評価した。結果)1.口腔癌切除後の各切除面積と発語明瞭度との関連は、舌癌では切除面積が大きくなるに従い発語明瞭度は低くなる傾向があり、両者間には統計学的に有意な負の相関関係が認められた。口底癌、下顎歯肉癌では、口底部の切除面積と発語明瞭度には、統計学的に有意な負の相関(口底癌P<0.01,下顎歯肉癌P<0.001)が認められたが、下顎骨の切除面積と発語明瞭度との関連は明かではなかった。 2.ダイナミック・パラトグラムによる構音時の舌運動の検索では、舌・口底の切除範囲が大きくなるにつれて舌・口蓋接触形態の変化や接触面積の増加が認められた。 3.ビデオ録画システムによる構音時の下唇、下顎の動きの検索では、舌・口底の切除範囲が大きくなるにつれて、また残存舌の可動性(舌運動時間)が長くなるにつれて下唇、下顎の運動量が大きくなる傾向が認められた。 考察)舌・口底・下顎歯肉癌の術後言語所見では、切除量が大きくなるにつれて残存舌、下唇、下顎による代償機能が働き、また切除量が少なくても残存舌の可動性が不良な症例でも、下唇、下顎による代償機能が働くものと考えられた。
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