1993 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節の数学モデル化による関節円板転位のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
04671240
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
和嶋 浩一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70138105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 仁志 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10217680)
小飼 英紀 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60205359)
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Keywords | 顎関節 / 数学モデル / 関節円板転位 / シミュレーション |
Research Abstract |
前年度に作成した顎関節モデルについて以下の研究を行った。 1.モデルの妥当性の評価 (1)モデルでの開閉口時の円板動態を健常例の顎関節腔造影による円板動態所見と比較した結果、ほぼ一致していた。(2)開口角に対する下顎頭のモデルでの計算値を現有の赤外線半導体カメラを用いた非接触顎運動計測システムによる健常例の最大開閉口運動と比較した結果、ほぼ一致し誤差は1mm以下であった。(3)開口角に対する咀嚼筋のモデルでの筋活動の計算値を健常例の筋電計測値と比較した結果、咬筋、側頭筋の閉口筋活動、顎二腹筋前腹と外側翼突筋下頭の開口筋活動さらに外側翼突筋上頭の下顎頭の後方滑走の制御のための閉口位付近での活動などとよく対応していた。本モデルは回転と滑走を基本としたものでなく、開口角度を与えることによりすべての筋力、受動要素力および関節反力を計算し、筋力の総和が最小となるように上顎に対する下顎と関節円板の位置を設定するように作成されたものであるが、作成された顎関節数学モデルのシミュレーション結果から下顎頭の変位、筋活動および円板動態の点から関節円板転位のメカニズムの究明に適したものであることが明らかにされた。 2.顎関節条件の変化による円板動態の解析 顎関節条件を種々変化させた状態をシミュレーションし、円板を転位させる可能性のある要素を究明するための準備として、従来から円板転位の原因として挙げられてきた諸説をもとに以下項目についてシミュレーション条件の詳細を設定した。1)円板後部結合組織の弛緩、延長 2)外側翼突筋上頭の異常活動 3)外側靱帯のゆるみ 4)関節面摩擦係数の増大 5)関節円板の変形 6)上下関節面の形状の変化 7)咬合位の変化 8)運動様式(下顎頭の回転と滑走運動)の変化 9)上記各項目の組み合わせ
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