1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671271
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
古山 公英 昭和大学, 歯学部, 講師 (10119191)
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Keywords | イオン型フッ素 / 蛋白結合型フッ素 / ヒト / 血漿 / 血清 / ゲルクロマトグラフィー / 動態 |
Research Abstract |
フッ素(F)含有医薬品や食品などから生体へFを取り込む機会は増大していると思われる。しかし,これら有機Fの血漿中動態については解明されているとは言い難い。本研究は,有機Fの動態を追及する上でその基礎となる健常人での血漿中Fの存在割合(ionic F,non-ionic F,bound F)を明らかにすることを目的として行った。 『実験』 1.市販のヒト血清(アメリカ製,混合)を用い,ゲルろ過法の再現性とFの割合を検索。2.健常人から採血,分離した血漿および血清中Fの割合を検索。ただし,血漿および血清は分離後,数名分を混合して試料とした。3.Fの測定法;(1)ionic FはIE法。(2)total FはPyH-GC法。(3)non-ionic Fはtotal Fからionic Fを差引いて求めた。(4)bound Fはゲルろ過により分画した血漿蛋白中のFを測定し,計算により求めた。 『結果』 1.市販のヒト血清によるゲルろ過法の再現性は良く,市販のヒト血清中でのFの割合は,従来から言われているionic Fとnon-ionic F(=bound F)の2種類だけでなく,すでに動物投与実験で報告しているように低分子量のF化合物と考えられるnon-ionic F(low molecular F compound)の存在がヒト血清中にも確認された。2.健常人の血清でも市販のヒト血清同様にionic Fとbound Fの他にこのnon-ionoc Fの存在を認めた。しかし,その量は市販の血清と比べ微量であった。これは市販のヒト血清に比べ今回の健常人の血清中F濃度が低い事,食生活などの違いによるものと思われ,Fの割合を明確にするにはさらに多くの試料を地域別に検討する必要がある。3.血漿では血清と同時に同一の健常人から得たものであるにも拘らず同じ結果が得られなかった。この事については理解し難く,先に述べた動物投与実験では血漿を用いても良好な結果が得られており,今回の血漿での結果は種差による血漿・血清成分の違いやその量によって生じたと思われる。
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