1992 Fiscal Year Annual Research Report
シキミ科植物に含まれる特異的成分の化学構造とケモタクソノミ-的考察について
Project/Area Number |
04671296
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 功 長崎大学, 薬学部, 教授 (20038607)
|
Keywords | シキミ(Illicium anisatum) / 大八角(Illicium majus) / 紅八角(Illicium dunnianum) / 南川八角(Illicium macranthum) / 地楓皮(Illicium difengpi) / Illicium simonsii / シキミ科 / イリシウム属 |
Research Abstract |
有毒植物として知られるシキミ(Illicium anisatum)は、日本で唯1種のシキミ科イリシウム属植物である.シキミ科植物は世界的に45種ほど分布している事が知られており,興味あることにその内35種が中国に存在する.申請者はここ数年,シキミの有毒成分アニサチンに類似した有毒セスキテルペンを検索する目的で,中国産イリシウム属植物の有毒成分を徹底精査してきた.この過程で日本産シキミより,新たなアニサチン誘導体を得ると共に,炭素5員環2つの縮合環に5員環ラクトン2つが縮合した特異なセスキテルペンを単離した.一方,中国産シキミ科植物大八角(I.majus)より毒性を持つ化合物を含むマジュシン型,アニサチン型のセスキテルペンをそれぞれ数種ずつ得ると共に,生合成的に特異な骨格を持つイリフノン類を得た.また,南川八角(I.macranthum)から最初に得られたトリフェニル型のセスキネオリグナンであるマクラント-ルの類似化合物として,紅八角(I.dunnianum)からはドュニアノ-ル,イソドュニアノ-ルを単離した.地楓波(I.difengpi)は上記の有毒イリシウム層植物とは異なり,その樹皮をリュウマチ治療薬として中国で用いられている.実際,この植物にはセスキテルペン類は見いだされず,ネオリグナンを含むフェニルプロパノイド誘導体が得られた.しかも,このネオリグナンもグリセロ-ルがエ-テル結合したものが多く得られると言う特徴を持つことが新たに明らかにされた. また今回新たにI.simonsiiの検討を行い,オイデスモ-ル等のこれまで他のイリシウム属植物からは得られなかったセスキテルペン類を得た.同時に上記のトリフェニルネオリグナン類を多量に得ると共に,新たな縮合様式を持つトリフェニルネオリグナンのシモンシノ-ルを単離した.以上の結果,イリシウム属植物に見られる特異な成分を明らかにし,同属植物のケモタクソノミ-的考察に一層の進展を与えている.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Isao Kouno: "Phenylpropanoids from the Barks of Illicium difengpi" Chemical & Pharmaceutical Bulletin. 40. 2461-2464 (1992)
-
[Publications] Isao Kouno: "Neolignans and Phenylpropanoid Glucoside from the Bark of Illicium difengpi" Phytochemistry. 32. (1993)