1992 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロマイシンの化学変換とそれを用いるマクロリド抗生物質の作用機序の解明
Project/Area Number |
04671304
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Research Institution | Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy |
Principal Investigator |
西田 篤司 北海道薬科大学, 薬学部, 助教授 (80130029)
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Keywords | エリスロマイシン / 抗生物質 / ハイブリッドマクロリド / マクロリド |
Research Abstract |
今回エリスロマイシンを用いる骨格変換研究の初めとして、抗菌活性発現に重要とされる糖部(デリサミニル基、クラディノシル基)を残したフラグメントの合成を行った。まずデリサミニル基のジメチルアミノ基を脱メチルアシル化反応に付した後、四酢酸鉛を用いて10位-11位間の炭素炭素結合を選択に切断した。酸処理、オゾン分解反応により10位-9位間の結合を切断し、引き続き過酸化水素を用いる加水分解反応を経て1位-9位に相当するフラグメントを糖部を失うことなく合成することに成功した。カルボキシル基を還元後、ベンジルオキシメチルエーテルとして保護した後、9位ラクトンカルボニル基を還元しベンゾイル基により保護した。2級・3級水酸基をトリエチルシリルエーテルとして保護し、エリスロマイシン1位-9位までのフラグメントをその後の変換に都合の良い保護基を持った形に変換した。 続いて、得られたフラグメントに人工合成による炭素鎖を導入し、マクロラクトン環を再構築することを検討した。マクロラクトンの構築法としては、現在、分子内ヴィッティック・ホーナー反応と活性エステルを用いるマクロラクトン化反応がよく用いられているが、まず、分子内ヴィッティック・ホーナー反応を検討することとして、9位をアルデヒドに変換後、1炭素増炭しながらβ-ケトホスホネートに変換した。 次年度は、これらの成果を踏まえて、マクロラクトン環の再構築、脱保護を経て、種々のエリスロマイシン誘導体の合成を行う予定である。
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