1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671306
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
遠藤 豊成 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (80013324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下遠野 久美子 共立薬科大学, 薬学部, 講師 (10096836)
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Keywords | ブラストサイジンS / 生合成変換 |
Research Abstract |
ブラストサイジンS(blasticidin S、BS)は、放線菌Streptomyces griseochromogenesの生産するシトシン型ヌクレオシド抗生物質で、抗菌活性、抗腫瘍性を有する。しかし、BSは化学的安定性や溶解性に欠け、化学変換による誘導体の調製が制限されている。本研究では、1)生産菌の変異処理による前駆体要求株の作成、2)生産菌の前駆体利用における基質特異性および許容性、を検討することにより、BSの生合成経路を利用した新規活性誘導体の調製を試み、成績体の活性を検討した。 1)前駆体要求株の作成には、ニトログアニジン、メタンスルフォン酸エチル、UV照射により変異株を分離し、6株について前駆体としてシトシンの添加効果を認めたが、継代に伴う修復機能が著しく、安定した変異株を作成するには至らなかった。 2)生合成前駆体利用における基質特異性の検討には、シトシン誘導体として、5位のF-、Cl-、Br、Me-置換体を用い、生産菌の培養液中にこれらを添加して検討を加え、生産菌の前駆体利用にかなりの許容性があることを認め、対応する新規BS誘導体を抽出・精製することが出来た。夫々の化学構造は、質量分析法およびNMRスペクトルの解析により決定した。また、5位l-誘導体は水溶性が低く、なお検討中である。 3)上記誘導体の抗菌活性は、Cl->Br->F->BS>Me-体の順で、5位ハロゲン置換体に活性の増強を認めた。BS分解酵素のBS-deaminaseに対する作用は、F-体は阻害活性を示さなかったが、Br-、Cl-体で不拮抗阻害を、Me-体で非拮抗阻害を示した。 4)前駆体の添加効果には、基質による変動が認められ、その原因を検索して、生産菌における強いシトシンデアミナーゼ活性の生産と前駆体の分解を観測した。現在、酵素の性質を検討し、阻害剤の添加による変換効率の改善を検討中である。
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