1992 Fiscal Year Annual Research Report
相間分配機構をもつシトクロムP-450の新して化学モデルの開発研究
Project/Area Number |
04671318
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木藤 正弘 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (00153148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹島 繁雄 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (60236461)
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
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Keywords | シトクロムP-450 / ポルフィリン錯体 / 化学モデル / 相間分配 / アセトアニリド / ナフタレン / リノール酸エチル |
Research Abstract |
相間分配機構をもつシトクロムP-450の化学モデルを考案することを目的として、基礎的研究を開始した。ポルフィリン化合物としてMn及びFeーポルフィリン錯体、電子伝達物質(還元剤)として水素化ホウ素ナトリウム及びチオール化合物、反応相溶媒として塩化メチレン、ベンゼン、酢酸エチル及びアセトニトリル、そして基質にはアセトアニリド(極性大)、ナフタレン(極性中)及びリノール酸エチル(極性小)を用い次の結果を得た。 1.アセトアニリド(0.1mmol)を基質とした場合:脂溶性担体スチレンジビニルベンゼン重合体(20mg)にアセトニトリルもしくは酢酸エチルを皮膜し、ヘミン(1.5μmol)を分配した反応相とシステインを用いて反応した時、5時間後、水相に少量のo-(約0.6μmol)及びp-(約0.4μmol)アセトアミノフェノールの生成をHPLCクロマトグラム上で認めた。Mn錯体及び他の有機溶媒では反応は進行しなかった。 2.リノール酸エチル(4.5mmol)を基質とした場合:1相系化学モデルのMnーポルフィリン錯体(4μmol)/水素化ホウ素ナトリウム/アビセル系で反応を行い、数種の生成物を確認した。現在それらの構造を決めている。 3.ナフタレン(0.1mmol)を基質とした場合:上記の1相系モデルで反応を検討した。反応性はFe錯体よりMn錯体(1.4μmol)が優れ(約15倍)、また反応溶媒は酢酸エチルが最も良く、以下ベンゼン>塩化メチレン>アセトニトリルであった。 生成物はモノヒドロキシ体の1ーナフトール(68%)及び2ーナフトール(31%)、ジヒドロキシ体の1,5-及び1,6-ナフタレンジオール(1%)であった。1ーナフトールを基質とした場合、1,5-、1,6ーを、また2ーナフトールを基質とした場合、1,6-、2,6-、2,7-ナフタレンジオールを検出した。いずれの場合も、ジオール体より極性の高い化合物を検出した。以上から、本反応系においてナフタレン→モノヒドロキシ体→ジヒドロキシ体→高極性化合物の反応が進行していることが示唆された。今後、この反応を2相系に組入れ、さらに検討を進める。
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