1992 Fiscal Year Annual Research Report
クロノクーロメトリー法を用いた活性酸素ラジカルの発生と消去反応の解析
Project/Area Number |
04671320
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Research Institution | 国立衛生試験所 |
Principal Investigator |
宮田 直樹 国立衛生試験所, 有機化学部, 部長 (50114674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 潔 国立衛生試験所, 有機化学部第一室, 研究員 (70189968)
末吉 祥子 国立衛生試験所, 有機化学部第二室, 室長 (80171114)
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Keywords | クロノクーロメトリー / 活性酸素 / セミキノンアニオンラジカル / ニトロアレーンアニオンラジカル / スーパーオキシド / 電気化学 / 一電子還元 / 電子移動 |
Research Abstract |
活性酸素ラジカルの生成および消去過程を、簡便にかつ直接的な方法で解析することを目的とし、高速反応の追跡に適した電気化学的測定法の一つであるポテンシャルステップクロノクーロメトリー法(PSCC法)の利用を検討した。その結果、支持電解質としてTEAPを含むDMF溶媒中、銀参照電極を用いることにより、種々のアニオンラジカルから酸素への電子移動、すなわち、活性酸素の発生が100m秒程度の反応時間で直接測定可能であることを明らかにした。次に、還元電位の異なる種々のキノンおよびニトロアレーン類を用いて、これらの一電子還元体(セミキノンアニオンラジカルおよびニトロアニオンラジカル)による酸素分子の還元能(スーパーオキシドの発生)の比較を行った。飽和溶存酸素を含むDMF中でキノンあるいはニトロアレーンの一電子還元を行い、単位時間あたりの還元電流量を測定し酸素非存在下での値と比較解析した。その結果、-1.1〜-1.4V(vs Ag+)に還元電位(Epc)を有するキノンやニトロアレーン類では、溶存酸素存在下、アニオンラジカルから酸素分子への電子移動に伴う還元電流の顕著な増加が見られることが明らかになった。酸素分子の還元電位は-1.41Vであり、この電子移動は酸化還元電位のギャップを乗り越えて進行する。電流量の増加率から酸素の還元的活性化能(メディエーター作用)をターンオーバー数として数値化した。その結果、酸素の還元電位との△Epcの小さいキノン及びニトロアレーン類ほどアニオンラジカルによる酸素の活性化が進行し、ターンオーバー数は5、12-ナフタセンキノンの時、最高29となった。ニトロアレーンアニオンラジカル類も同様に酸素に電子を渡すが、活性酸素発生効率は同じEpcを持つキノン類の約60%であった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nobuhisa Iwata: "Reduction properties of nitrated naphthalenes: Relationship between electrochemical reduction potential and the enzymatic reduction by microsomes or cytosol from rat liver" Chem-Biol.Interactions. 85. 187-197 (1992)
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[Publications] Kiyoshi Fukuhara: "Reduction Property and mutagenicity of newly synthesized nitroarenes as environmental mutagens" Jpn.J.Toxicol.Environ.Health. 39. P3- (1993)
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[Publications] Kiyoshi Fukuhara: "1-and-3-Nitro-6-azabenzo[a]pyrenes and their N-oxides: Highly mutagenic nitrated azaarenes" Chem.Res.in Toxicology. 5. 149-153 (1992)
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[Publications] Kiyoshi Fukuhara: "Oxygen Redicals, Electron transfer from quinone or nitroarene to molecular oxygen" Excrpta Medica, 846 (1992)