1992 Fiscal Year Annual Research Report
NMRを用いたインターロイキン6の受容体結合部位に関する研究
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04671322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 千秋 東京大学, 薬学部, 助手 (70218197)
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Keywords | IL-6 / 部位特異変異 / IL-6受容体 / 部分ペプチド / NMR |
Research Abstract |
当該年度は、NMRによる解析の前段階として、インターロイキン6(IL-6)の部位特異変異株、及びIL-6の受容体結合性ペプチド断片を作成することを行なった。 ヒトIL-6のC末端領域には、Leu残基が7残基ごとに3回繰り返して存在する部分が2箇所ある(Leu152,Leu159,Leu166とLeu168,Leu175,Leu182)。これらのLeu残基の部位特異変異株を作成し、受容体結合活性とB株化細胞の免疫グロブリン産生誘導活性を調べた。両活性ともに、3残基変異株Leu168,175,182→Valでは、野生株の1%に減少した。一方、3残基変異株Leu152,159,166→Valでは、受容体結合は13%保持していたが、免疫グロブリン誘導活性は2%に減少した。次に、より受容体結合に関与していると考えられるLeu168,Leu175,Leu182の2残基変異株、及び1残基変異株を作成した。2残基変異株Leu168,175→Valは、受容体結合活性が野生株の3%、免疫グロブリン誘導活性が2%にまで低下しており、変異株Leu175,182→Valは、受容体結合活性が野生株の6%、免疫グロブリン誘導活性が7%であった。1残基変異株の中では、変異株Leu175→Valは最も両活性が低下しており、受容体結合活性が野生株の8%、免疫グロブリン誘導活性が13%になった。 上述のそれぞれ3つのLeu残基を含む2つのペプチド断片(Leu152-Arg169とLeu168-Met185)を合成し、受容体結合性を調べた。ペプチド断片Leu168-Met185は弱いながらも野生株の10^4分の1の活性を示したが、一方、ペプチド断片Leu152-Arg169は有意な活性を示さなかった。 以上のように、部位特異変異及びペプチド断片の実験により、IL-6のC末端領域は受容体結合に関与していることがわかった。次年度は、部位特異変異株、及び、ペプチド断片のNMRを用いた高次構造解析を行ない、IL-6の構造活性相関を明らかにする。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nishimura,C.: "Role of leucine residues in the C-terminal region of human interleukin-6 in the biological activity" FEBS Lett.311. 271-275 (1992)
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[Publications] Ekida,T.: "A receptor-binding peptide from human interleukin-6:Isolation and a proton nuclear magnetic resonance study" Biochem.Biophys.Res.Commun.189. 211-220 (1992)