1993 Fiscal Year Annual Research Report
新規なアニオン受容体・大環状ピリミジニウムクラウンの合成と分子認識に関する研究
Project/Area Number |
04671325
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
青木 克之 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30087514)
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Keywords | ホスト-ゲストの化学 / 分子認識 / アニオン受容体 / 大環状ピリミジニウムクラウン / チアミン / ピリミジン / 結晶構造 |
Research Abstract |
1.チアミン塩酸塩の熱分解反応により数種類のピリミジニウム多量体を得た(HPLCにより確認)。これらのピリミジニウム多量体の分離精製の条件を種々検討したが、現在のところ成功しておらず今後更に検討する。 2.チアミンから(ピリミジニウム2量体)^+-ClO_4^-塩を合成し、これを出発物質として(pyrimidinium dimer)_2^<2+>-[Hg_2I_6]^<2->塩および(pyrimidinium dimer)_2^<2+>-[Co(SCN)_4]^<2->塩を得た。 3.(pyrimidinium dimer)^+-ClO_4^-塩、(pyrimidinium dimer)_2^<2+>-[Hg_2I_6]^<2->塩および(pyrimidinium dimer)_2^<2+>-[Co(SCN)_4]^<2->塩のX線結晶構造解析を行い、いずれにおいてもpyrimidiniumカチオンとアニオンとの間に、先に我々が(cyclic pyrimidinium tetramer)^<4+>-4Cl^-塩の結晶構造で見出した新規なカチオン-アニオン認識様式であるC(6')-H(ピリミジニウム環)...Cl^-水素結合およびCl^-...ピリミジニウム環平面静電気的相互作用(J.Am.Chem.Soc.,113,7033(1991))と同様のカチオン-アニオン相互作用を見出した。 4.上記3.の結果から、チアミン単量体-アニオン塩においても、同様のホスト-ゲスト様相互作用が期待されたので、アニオン=[PtCl_6]^<2->,[PtCl_6]^<2->.Cl^-,[Pt(SCN)_4]^<2->,[Pt(SCN)_6]^<2->,[Hg(SCN)_4]^<2->,[HgCl_3-(SCN)]^<2->,[Co(SCN)_4]^<2->,2I_3^-塩の合成とX線結晶構造解析を行い、いずれにおいても上記3.と同様のカチオン-アニオン相互作用を見出した。 5.チアミン-リン酸単量体(TMP)-アニオン塩として、TMP^+.CF_3SO_3^-塩、[(TMP){Cu(bpy)Cl}{Cu(bpy)}]_2.-3(ClO_4^-)塩、[(TMP){Cu(phen)Cl}{Cu(phen)}]_2.3(ClO_4^-)塩の合成とX線結晶構造解析を行い、いずれにおいても上記3.と同様のカチオン-アニオン相互作用を見出した。 6.上記3.、4.、5.より、分子認識様式としての、(i)C-H(芳香環)...アニオン水素結合および(ii)アニオン...芳香環静電気的相互作用の一般性を明かにした。
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