1992 Fiscal Year Annual Research Report
酸性ムコ多糖類の薬物動態学的研究:分画ヘパリンの肝取り込みに及ぼす血漿蛋白の影響
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04671328
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
渡辺 淳 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80080175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 弥生 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (00117847)
湯浅 博昭 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (20191471)
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Keywords | ラット培養肝実質細胞 / 分画ヘパリン / 濃度依存的肝取込み / 輸送阻害剤 / アニオン輸送系 |
Research Abstract |
初代培養肝実質細胞を用いた、分画[^3H]-Heparinの取込み実験によって以下の点が明らかになった。 1.取込み濃度依存性:培養液中のheparinの濃度を15.0〜850nMの範囲で上昇させると、60分間の取込みクリアランスは低下した。その取込みを、Michaelis-Menten形の非線形のモデルで解析することにより、Vmax=0.36pmol/min/mgprotein、Km=21nMという結果が得られた。これはすでに得られている、1分間の取込み速度のデータからのVmax=10.1pmol/min/mgprotein、Km=284nMに比して、かなり低い値であった。そのような1分値と60分値との相違は、前者が主として肝実質細胞の輸送担体との初期の結合特性を反映しているのに対し、後者では主として結合体の細胞内への内在化の過程を反映しているためであろうと推定された。 2.取込みに及ぼす各種輸送阻害剤の影響:代謝阻害剤であるIodoacetamide2,4-DinitrophenolやOuabainによる阻害は認められず、分画Heparin'の取込みはAPT-非依存的であることが示唆された。さらに、受容体介在性エンドサイトーシス阻害剤として知られているPhenylasine oxideやAmantadineによっても取込み阻害はみられず、また、肝細胞表面にそのレセプターが存在することが知られている糖類であるN-Acetyl-galactosamineやManneseによっても、取込みクリアランスの低下は生じなかった。しかし、アニオン輸送系阻害剤である4,4'-Diisothiocyanatostilbene-2,2'-disulfonic acid(DIDS)や有機アニオンであるPentosan polysulphateやHeparan sulphateによって、取込みは有意に阻害されることが明らかになった。したがって、Heparinの肝実質細胞への取込みには、アニオン輸送系か、又はそれに類似した機構の関与が強く示唆された。
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[Publications] Jun Watanabe: "Uptake Mechanism of Fractionated [^3H]-Heparin in Rat Parenchymal Hepatocyte in Primary Culture:Effect of Transport Inhibitors on the Uptake" Biol,Pharm,Bull.(No.5). 16. (1993)