1992 Fiscal Year Annual Research Report
重水素標識薬物に対する同位体分離法の確立とトレーサ研究への応用
Project/Area Number |
04671335
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
五郎丸 毅 福山大学, 薬学部, 教授 (80037605)
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Keywords | 重水素標識 / 同位体分離 / キャピラリーGC |
Research Abstract |
1.重水素イソプロピルアンチピリン(H体)の各位置に導入した1-C_6D_5、2-CD_3、3-CD_3、4-CH(CD_3)_2、1-C_6D_5-3-CD_3、2-CD_3-3-CD_3、3-CD_3-4-CH(CD_3)_2を合成した。isopropyl基の標識体では一部重水素の脱離がみられたが、他はほぼ完全に標識されていることが確認された。H体とこれらD体について分離性を化学結合型キャピラリーカラムを用いて検討し以下の結果を得た。(1)分離はカラムの絶対温度の逆数に比例する。(2)分離はほぼ標識重水素数に比例して向上するが、同一標識数でも標識位置による相違がみられる。(3)複数の箇所を標識した場合、分離係数は単独標識時の和とほぼ等しく、相加性が認められる。(4)種々の重水素含量の3-CD_3のピーク幅の変化より、d_0、d_1、d_2、d_3各標識体の保持時間は僅かに異なる。(5)3-CD_3-4-CH(CD_3)_2とH体の混合重量比とピーク面積比との間には相関係数0.9996と良好な直線性があり、変動係数で1-2%と定量性が認められた。以上の結果について、現在投稿準備中である。 2.フェンタニル(H体)のphenetyl基、aniline環、propionyl基を重水標識したd_2、d_5、d_<10>、d_<15>、d_<19>体を合成した。IPAの場合と同様にH体とこれらD体について分離性を検討し以下の結果を得た。(1)分離はカラムの絶対温度の逆数に比例する。(2)分離はほぼ標識重水素数に比例して向上するが、d_2体、d_5体との分離は認めれらない。(4)d_<19>体とH体の混合重量比とピーク面積比との間には相関係数0.9998と良好な直線性があり、変動係数は2%以下である。 更に、高感度検出を試みた所、100pg以下でも十分定量性があり、現在血清中濃度の測定に応用すべく検討中である。本結果の一部は薬学会中国四国支部例会で報告し、また現在投稿準備中である。 以上、キャピラリーGCによる重水素標識薬物の同位体分離について基礎的検討を行い、本方法のトレーサ検出法として有用性を確認した。
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