1992 Fiscal Year Annual Research Report
脳組織に存在するシトクロムP-450分子種の薬理学的・生理学的意義
Project/Area Number |
04671341
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
成松 鎮雄 千葉大学, 薬学部, 助教授 (20113037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝渕 泰宏 千葉大学, 薬学部, 助手 (10209455)
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Keywords | シトクロムP-450 / P450BTL / P450Male / P450MUT-2 / 抗体 / 脳ミクロゾーム / 抗体カラム / Western Blot分析 |
Research Abstract |
ラット肝ミクロゾーム(Ms)から精製したシトクロムP450BTL(CYP2D2)、雄特異的分子種P50male(CYP2C11)及びマウスMsから精製したP450MUT-2を家兎に感作して抗体を調製した。続いてラット、モルモット、家兎脳MsにつきWestern blot分析を行ったところ、ラット脳にはP450BTL、P450male、P450MUT-2と兎疫学的に交差する、分子量50Kの蛋白バンドが見いだされた。モルモット脳Msには、分子量50KにP450MUT-2と交差する蛋白バンドが認められた。一方、家兎の脳MsにもP450BTL抗体によって染色される蛋白バンドが観察されたが、分子量は40K程度であった。さらに、免疫組織学的検討によりラット脳内の神経細胞にP450BTL抗体に対する反応性が観察された。現在脳組織中の薬物代謝酵素活性の信頼性の高い測定法を検討中である。 ラット肝より精製されたP450BTLは、実は分子量50K(50KP)の高分子蛋白と分子量32K(32KP)の低分子蛋白との混合物である。種々の方法で、32KPを一部取り除いたところ、本酵素精製の指標であるブニトロロール4位水酸化活性が大幅に低下した。そこでP450BTLを電気泳動に付し小分子量蛋白を分離して、アミノ酸配列分析を行なったところ既知蛋白の配列とは一致しなかった。さらに50KPと30KPを電気泳動で分取し、抗体調製を試みたところ、50KPを感作した兎からはWestern Blot分析上、50KPのみと交差する抗体が得られたが32KPでは抗体が得られなかった。続いて抗50KP抗体で抗体カラムを調製し、P450BTL画分から2種の蛋白の分離を試みたが、お互いに高い親和性で結合しており、いずれの条件でも、分離することはできなかった。上記動物脳におけるP450BTLについての結果は、2種の蛋白の混合物に対する抗体に関するものであり、この50KPのみに交差する抗体を用いて、さらに脳内P450の局在性、その生理的機能を追究する予定である。
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