1992 Fiscal Year Annual Research Report
胃酸分泌におけるヒスチジン脱炭酸酵素の活性調節に関する生物薬学的研究
Project/Area Number |
04671348
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 哲也 京都大学, 薬学部, 助教授 (90111971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
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Keywords | ヒスチジン脱炭酸酵素 / ヒスタミン / 胃酸分泌 |
Research Abstract |
(1)胃のHDCの精製とその諸性質:申請者らが癌化肥満細胞のHDCに用いた精製を適用し、マウス胃の可溶性画分から7段階のカラムクロマトグラフィーを用いて本酵素を37,500倍に精製し、単一な標品を得た。HDCは従来から不安定でその精製が困難であり、従来から3例程報告されていた精製法はすべて、最終的にポリアクリンアミドゲル電気泳動、または等電点電気泳動を行ってからゲルから切り出すものであり、純度、比活性、回収率の点に問題があったが、申請者等の開発した方法は混在タンパク質を、特定のpHにおける低イオン強度沈澱法により除いた上で、通常のカラムクロマトグラフィーを行うものであり、本研究における、胃のようなHDC低含量の臓器から高純度で高比活性なHDCお得るためにきわめて有効であることが確認された。精製酵素の比活性、およびヒスチジンに対するKm値ははP-815癌化肥満細胞のHDCとほぼ同じであり、また分子量54kDaのサブユニット2個からなる酵素であることを明らかにした。さらに、Mono-Pを用いたクロマトフォーカシングでは等電点pH5.4の単一のピークを得た。(2)胃のHDCの活性調節:ラット胃粘膜の粗抽出液を用いた実験により、本酵素には等電点の異なる3種類のアイソザイムが存在することが報告されているが、上記の酵素精製の過程で活性のピークは常に1本であったことから、マウス胃のHDCの分子種は1種類であると推定された。また、本酵素の阻害剤としてHDCに特異性の高いものは自殺基質しか知られていないが、細胞内に本酵素の活性を阻害する因子が存在することを示す結果を得ており、現在検討中である。(3)HDCの臓器分布:癌化肥満細胞からクローニングしたHDCのcDNAをプローブとしたノザンハイブリダイゼーションでマウスHDCの臓器分布を検討したところ、HDCmRNAの発現は精巣、胃、肺に多いことが分かった。
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