1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞におけるアニオンの役割の解明:アニオン一次能動輸送系の分子生物学的研究
Project/Area Number |
04671352
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
池田 己喜子 岡山大学, 薬学部, 助教授 (20112154)
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Keywords | カサノリ / CL_-輸送性ATPase / sulfate permease / アニオン一次能動輸送系 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
1.Cl^-輸送性ATPase遺伝子のクローニング及び全一次構造決定 カサノリに存在するCl^-‐ATPaseの構成サブユニットであるa(54kDa)・b(50kDa)サブユニットの遺伝子のクローニングをPCR法を利用して試みた。aサブユニットについては,PCR法によるCDNAライブラリーのスクリーニング→プラークハイブリダイゼーションにより約800bpより成るクローンを得た,又,同一のクローンがtotal RNAを逆転写後PCRにより増幅した場合にも得られた。塩基配列決定後,解析した結果,aサブユニットのN末端から蛋白質レベルで得たアミノ酸配列をコードしており,45アミノ酸残基まではCF_1‐ATPaseのαサブユニットと高い相同性を示すが,46残基以降は全く相同性が認められなかった。クローンの大きさも小さく,偽遺伝子の可能性が示唆された。bサブユニットについては,total RNAを逆転写後,PCRによる増幅を行う事で,重複する3種類のクローンを得,全体として1,427bpより成るbサブユニットをコードするORFをほゞ完全にカバーするものであった。塩基配列より翻訳されるアミノ酸配列には,蛋白質レベルで得たアミノ酸配列が確認された。概報のカチオン輸送性ATPaseと比較すると,FタイプATPase,βサブユニットに最も高い相同性を示した(N末端から120アミノ酸残基までは約70%,それ以降C末端までは90%以上の相同性が認められた)。 2.sulfate permease遺伝子のクローニング及び全一次構造決定 構成サブユニットと推定されるCysA,CysT,CysW蛋白質及びsulfate binding protein(SBP)について,total RNAを逆転写後,PCRによる増幅を試みた。cysAについては,新たにシアノバクテリアCysA蛋白質と48%の相同性を示す断片を得た。sbpについては,大腸菌・サルモネラ菌SBPと90%以上の相同性を示す遺伝子断片を得た。両者についてC末・N末への伸長を行っている。cysT/Wについては侯補クローンを複数得ている。
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[Publications] 池田 己喜子: "生体膜に存在するアニオン輸送系の解明 - CL^-輸送ATPaseに関する分子生物学的研究" (財)薬学研究奨励財団「薬学研究の進歩・研究成果報告集」. 7. 137-148 (1991)
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[Publications] Ikeda,M.,Satoh,S., Maeshima,M.,Mukohata,Y. & Moritani,C.: "A vacuolar ATPase and pyrophosphatase in Acetabularia acetabulum" Biochim. Biophys. Acta. 1070. 77-82 (1991)
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[Publications] Ohhashi, T.,Katsu,T. & Ikeda, M.: "Improvement of reconstitution of the Cl -translocating ATPase iso- lated from Acetabularia acetabulum into liposomes and several anion pump characteristics" Biochim. Biophys. Acta. 1106. 165-170 (1992)
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[Publications] 池田 己喜子, 大森 晋爾: "生体膜に存在するアニオン輸送系の研究 - CL^- 輸送性ATPase 及び硫酸イオン輸送系の解析" 日本学術振興会「学術月報」,. (1993)
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[Publications] Moritani, C.,Yamauchi,M., de Groot, E.J., Oesterhelt, D.& Ikeda, M.: "Acetabularia is equipped with sulfate permease:amplification of a 359 bp and a 552 bp fragment encoding a putative cysA and a sulfate binding protein" Planta, in press. (1993)
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[Publications] Moritani, C.,Ohhashi, T., Lottspeich, F., Oesterhelt, D.& Ikeda, M.: "Cloning and sequencing of the gene encoding the b subunit of the Cl^-- translocating ATPase of Acetabularia acetabulum" Biochim. Biophys. Acta,. (1993)