1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671372
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渡辺 隆史 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (70096692)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 純司 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (60200721)
|
Keywords | ペルオキシゾーム / 誘導機構 / 脂質低下薬 / 細胞内情報伝達 / 薬物受容体 |
Research Abstract |
1.薬物誘導性ペルオキシゾーム増殖の種差 肝臓の酵素活性に及ぼすデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の作用をラット、マウス、ハムスター、モルモットを用いて検討した。その結果、ペルオキシゾームβ酸化やカルニチンアセチル基転移酵素、リンゴ酸酵素、パルミトイルCoA水解酵素活性などがラット、マウスで上昇した。しかし、ハムスター、モルモットではいずれの酵素活性においても変化がなかった。これらの酵素誘導の種差はイムノブロット分析でも確かめられた。これらの結果は生体内のホルモンの1種であるDHEAがクロフィブレートなどの薬物と同様な機構でペルオキシゾーム増殖を誘導することが示唆された。このように、クロフィブレートなどと全く構造が異なるDHEAが同様の増殖誘導効果を持つことから、今後はペルオキシゾーム増殖誘導物質の構造と種差の面から誘導の機構解明を目指していきたい。 2.薬物投与時の細胞内情報伝達機構の変化 培養肝細胞の系においてペルオキシゾーム増殖薬による酵素誘導はカルモジュリン阻害薬やPKC阻害薬で顕著に抑制された。この誘導抑制はペルオキシゾーム二頭酵素のイムノブロット分析により、ペルオキシゾーム増殖薬による酵素量の増加を、これらの阻害薬が抑制していることが明らかになった。さらに当該酵素のmRNA量の分析から、この抑制は転写以前の段階での調節であることも分かった。増殖薬処理後に細胞内リン酸化タンパク質を調べたところ、分子量約50kDaのリン酸化タンパクの増量を認めた。これに対して、増殖薬処理により細胞の膜画分中のPKC活性の上昇が起こっていた。以上、ペルオキシゾーム増殖は細胞内情報伝達により調節されることが示唆され、現在、細胞内カルシウムの動態やイノシトール代謝の面からの研究を進めている。
|