1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671372
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Research Institution | Tokyo College of Pharmacy |
Principal Investigator |
渡辺 隆史 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (70096692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 純司 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (60200721)
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Keywords | ペルオキシゾーム / 酵素誘導機構 / カルシウム / 細胞内情報伝達 / タンパク質リン酸化 |
Research Abstract |
1.細胞内カルシウム動態に対するペルオキシソーム増殖薬の影響 ペルオキシソーム増殖薬の細胞内Ca動態に対する影響について検討した。ラット遊離肝細胞にfura-2AMを取り込ませた後、ペルオキシソーム増殖薬処理を行ったところ、細胞内遊離Ca濃度の持続的な増加を認めた。また細胞外Caを低濃度に保った場合あるいはCaアンタゴニストとの併用により、この持続的な上昇は消失した。すなわちペルオキシソーム増殖薬は細胞内Caプールに作用することで、初期の細胞内遊離Ca濃度の上昇をもたらし、ついで細胞外からの流入により持続的な細胞内遊離Ca濃度上昇を引き起こすことが示唆された。すなわち細胞内遊離Ca濃度の持続的な上昇がペルオキシソーム酵素誘導に必要であることが示唆された。 2.細胞内タンパク質リン酸化に及ぼすペルオキシソーム増殖薬の影響 ペルオキシゾーム酵素誘導へのPLCおよびチロシンリン酸化の関与をcompound48/80およびgenisteinを用いて検討した。その結果、この両者ともにペルオキシゾーム酵素の誘導を転写レベルで有意に抑制した。さらに、初代培養ラット肝細胞のサイトゾルおよび核画分においてペルオキシゾーム増殖薬処理により、それぞれ50-55kDaおよび11-13kDaのタンパク質のリン酸化増加を認めた。核画分の当該リン酸化タンパクはアルカリ耐性を示しgenisteinでその生成が抑制されたことからチロシンキナーゼ依存的なものと考えられた。 3.結語 ペルオキシゾーム増殖薬は核内受容体に直接/間接的に作用し酵素誘導の引き金を引くが、その一方でPKC,PLC,細胞内遊離Ca,チロシンキナーゼなどの情報伝達因子に影響を与え、その調節の結果として顕著な誘導が現れることが明らかになった。
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