1993 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチにおけるマトリックス分解酵素群の活性制御法に関する基礎研究
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04671373
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Research Institution | TOKYO COLLEGE OF PHARMACY |
Principal Investigator |
伊東 晃 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (70096684)
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Keywords | マトリックスメタロプロテアーゼ / ヒト関節滑膜細胞 / プロスタグランジン E / シクロオキシゲナーゼインヒビター / インターロイキン 1 / ジクロフェナック / インドメタシン |
Research Abstract |
平成5年度は、サイトカイン特にインターロイキン1(IL-1)により産生が促進されるプロスタグランジンとマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)との関連さらにはシクロオキシゲナーゼインヒビターである非ステロイド性抗炎症薬との関わりを検討し、以下の点を明らかにした。 1.ヒト関節滑膜細胞をIL-1にて処理するとコラゲナーゼ(MMP-1)やストロムライシン(MMP-3)の産生が促進されるが、この時インドメタシンやジクロフェナックなどのシクロオキシゲナーゼインヒビターにて同時処理をおこなうとこれら酵素産生がさらに増加することが判明した。 2.滑膜細胞はIL-1alphaおよびbeta前駆体の産生能を有するが、IL-1やTNFalphaにて同細胞を処理するとMMP同様にこれらの産生が促進され、さらにインドメタシンはこれら産生をさらに促進した。 3.滑膜細胞培養系にPGE_1やPGE_2を添加するとMMP-1、MMP-3およびIL-1産生が抑制される事実を確認し、これらプロスタグランジンが関節滑膜周辺においてMMP産生の観点からすると抗炎症作用を有することを確認した.これらの事実は上記MMPおよびIL-1産生に対するインドメタシンやジクロフェナックの作用がサイトカインによるPGE_2産生促進の抑制に起因することを示唆するものである。さらに上記抗炎症薬はウサギ膝関節滑膜細胞および軟骨細胞においても全く同様の作用を示す事実を確認した。 以上の結果から、シクロオキシゲナーゼ抑制作用を有する薬物は関節滑膜組織等において炎症メディエーターであるIL-1産生を促進するのみならず、IL-1が促進するMMPの産生をも増加させる事を,さらに慢性関節リウマチなどにおける抗炎症薬の選択に特別の注意が必要である事を示唆する。また、今後の抗炎症薬はMMPやIL-1などのサイトカイン産生抑制作用あるいはサイトカインレセプター拮抗薬などの作用を有するものが極めて有効であることを示唆する。
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