1992 Fiscal Year Annual Research Report
脳およびその培養ニューロンを用いたGABA_A受容体複合体結合部位に関する研究
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04671375
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
福田 英臣 日本大学, 薬学部, 教授 (50080172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 芳久 日本大学, 薬学部, 専任講師 (50151551)
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Keywords | GABA_A受容体 / [^<35>S]TBPS結合 / ^<36>Cl^-取込み / シナプトニューロソーム / クラライドイオンチャネル |
Research Abstract |
現在までのGABA_A受容体複合体の研究においては、受容体結合実験には膜画分が多用され、GABAアゴニスト依存性^<36>CI^-の取込み実験にはシナプトニューロソーム画分が使用されてきた。そのため受容体結合実験から得られた成績と^<36>CI^-取込み実験から得られた成績が必ずしも一致しないことが問題となってきた。今年度は、シナプトニューロソーム画分を用いてGABA受容体ピクロトキシン結合部位への[^<35>S]TBPS結合部位を検討し、^<36>Cl^-取込み実験の結果と比較検討するとともに、大脳皮質に加えて海馬と小脳からもシナプトニューロソーム画分を調製し、^<36>CI^-取込み実験系を確立した。シナプトニューロソーム画分における[^<35>S]TBPS結合は、膜標品の場合と同様に、GABAやムシモールにより抑制された。そのIC_<50>値は、膜標品での報告よりも約10‐50倍高い値を示したが、^<36>CI^-取込み実験から得られた両薬物のED_<50>値とほぼ一致していた。また、海馬より調製したシナプトニューロソーム画分への^<36>CI^-の取込みは、大脳皮質の場合と同様にムシモールの添加により用量依存的に増加した。そのKm値は8μMであり、500μMで、最大140%の増加が認められた。この傾向は、大脳皮質の結果とほぼ同じであったが、小脳では、ムシモールのKm値が、3 μMであり、最大でも53%の増加しか認められなかった。これらの結果から、シナプトニューロソーム画分を用いると、受容体結合実験と^<36>CI^-取込み実験のデータがほぼ一致すること、また海馬のGABA_A受容体と共役しているCIイオンチャネルは、大脳皮質のものとの類似点が多かったのに対し、小脳のものとはかなり異なることが明らかとなった。従来から、脳各部位におけるGABA_A受容体の結合実験の成績やベンゾジアゼピン受容体との共役性から、GABA_A受容体に多様性が認められることが報告されてきたが、今回の実験成績から、イオンチャネルの機能の面にも多様性が認められることが明らかとなった。
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