1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04671378
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中田 博 京都産業大学, 工学部生物工学科, 助教授 (90113141)
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Keywords | Tn抗原 / グリコホリンA / ロイコシアリン |
Research Abstract |
癌関連糖鎖抗原の一つであるTn抗原は、Tn症候群と呼ばれる血球系の疾患でも発現する。その中で、グリコホリンAにTn抗原が発現(TnグリコホリンA)することは、1950年代より明らかにされているが、そのエピトープは明確になっていない。我々は正常なグリコホリンAをシアリダーゼおよびβ-がラクトシダーゼ処理することにより、Tn抗原活性が出現することを確認した上で、エピトープの構造解析を試みた。すなわち、グリコホリンAをグリコプロテアーゼ処理することによって得た断片をDiol-60(YMC)のゲル3過、レンチルレクチンによるアフィニティークロマト、C18の逆相クロマトグラフィーにより精製した。グリコホリンAのN末端近傍にはGal NAc-Ser/Thrのクラスターが2ケ所(3ケと4ケ)が存在する。Tn抗原活性は、それぞれの糖ペプチドを固相化し、抗Tn抗体(MLS128)の結合で測定した。クラスターの存在する糖ペプチドはいずれも活性が見い出されたのに対し、Gal NAc-Ser/Thrが単独で存在する糖ペプチドには活性はなかった。また、3ケと4ケのクラスターをもつ糖ペプチドを比較した場合、活性発現には3ケで十分であることがわかった。 また、同抗原はT細胞系培養株の細胞のロイコシアリン(CD43)に多く発現されていることがわかった。Jurkat 細胞のロイコシアリンについてもエピトープの検討を行なった。すなわち、ロイコシアリンをトリプシン処理して得た糖ペプチドをMLS128の抗体カラムに通し分画した。抗原活性をもつ糖ペプチドを種々のクロマトグラフィーで精製し、アミノ酸配列を解析した。抗原活性をもつ糖ペプチドは、いずれもGal NAC-Thr/Serのクラスターをもつことがわかった。また、Ser、Thrの配列には抗原活性は無関係であることがわかった。
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[Publications] Hiroshi Nakada: "Cancer-associated glycoproteins defined by a monoclonal antibody,MLS128,recogniging the Tn antigen" Biochem.Biophys.Res.Commun.187. 217-224 (1992)
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[Publications] Hiroshi Nakada: "Epitopic structure of Tn glycophorin A for an Anti-Tn antibody(MLS128)" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (1993)
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[Publications] 中田 博(分担): "複合糖質(蛋白質核酸酵系)" 鈴木 明身、谷口 直之、古川 清、井上 圭三編, 5 (1992)
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[Publications] 中田 博: "間質性肺疾患・新しい理解と対応(最新医学)" 泉ら編, 10 (1992)