1992 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸の神経細胞傷害におけるプロテインキナーゼCと一酸化窒素の関与
Project/Area Number |
04671381
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
芳生 秀光 摂南大学, 薬学部, 教授 (80101294)
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Keywords | グルタミン酸 / 神経興奮毒性 / 神経細胞傷害 / プロテインキナーゼC / 一酸化窒素 / ニトロプルシットナトリウム / PC12細胞 / cGMP |
Research Abstract |
グルタミン酸(Glu)の神経興奮毒性はN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体を介するCa^<2+>の細胞内への過剰流入により惹起されることがすでに明らかにされているが,Ca^<2+>流入以降の神経壊死に至るプロセスについては未だ解明されていない。最近,細胞質中のCa^<2+>/リン脂質依存性プロテインキナーゼC(PKC)の細胞膜への移行とその賦活,あるいは細胞内でCa^<2+>/NADPH依存性一酸化窒素(NO)の過剰生成がNMDA受容体を介した神経興奮毒性の発現において重要な役割を果していることが相前後して報告された。しかし,その詳細は不明である。 本研究はまず内外因性NOが神経細胞に及ぼす影響,また,PKCの細胞膜への移行とその賦活が細胞内のNO生成に与える影響,さらに両者間の関連について培養神経細胞を用いて検討した。以下の結果を得た。 1.交感神経系のモデル細胞であるPC12細胞の増殖はニトロプルシットナトリウム(SNP)により濃度依存的に阻害された。SNPの阻害効果はヘモグロビンの添加により軽減されたことからNOは本阻害作用の本体である可能性が考えられる。 2.Glu,NMDAはPKCの細胞膜への移行を約1.5培増加促進したが,SNPでは殆んど影響を与えなかった。一方,NOの生成は細胞を短時間TPAで処理すると,約2培増加した。これらの結果からNOがPKCの膜への移行には作用しないが,PKCの膜への移行とその賦活がNOの生成に関与していると考えられる。 3.SNPの示す細胞毒性はグアニル酸シクラーゼの阻害剤であるメチレンブルーの後処理により完全に消失した。また,細胞をSNP処理前または処理後に8-Br-cGMPで処理すると,SNPの細胞毒性はさらに増強された。このことから細胞内cGMPレベルの上昇はNOの細胞毒性の一因である可能性が考えられる。
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