1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子による動物細胞の糖輸送・糖輸送体遺伝子発現の調節機構
Project/Area Number |
04671384
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
北川 隆之 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 室長 (80092188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益見 厚子 国立予防衛生研究所, 安全性研究部, 研究員 (70165728)
赤松 穣 国立予防衛生研究所, 細胞化学部, 部長 (00072900)
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Keywords | 糖輸送 / 糖輸送タンパク質 / 細胞増殖因子 / TGF-β / 糖鎖修飾 / マウス線維芽細胞 |
Research Abstract |
動物細胞の糖輸送活性は、細胞膜に存在する分子量55KDの糖タンパク質(糖輸送体タンパク質)により調節されており、近年、脳、肝臓、筋肉組織より互いに類似したcDNAが分離された。本研究では、脳型糖輸送体遺伝子(GLUT1)について、この遺伝子発現の分子調節機構、およびGLUTIタンパク質の細胞増殖調節における意義を明らかにすることを目的とした。マウス3T3細胞における糖輸送およびGLUT1遺伝子発現は、PDGFやFGFによりG1期初期に活性化されるが、増殖・分化の調節因子であるTGFβにより更に相乗的に促進される。この遺伝子発現の増加に伴い、TGFβは糖輸送体タンパク質の細胞膜における発現量を増加するとともに、その糖鎖構造を修飾し、分子量が約65KDに変化することを明らかにした。この作用はTGTβに特異的で、また他の糖タンパク質では認められなかった。この糖鎖構造の変化を更に解析した結果、GLUT1タンパク質はTGFβ処理により、より高分岐型の糖鎖を持つことが判明した。TGFβによるGLUT1の糖鎖修飾に伴い、GLUT1のD-グルコースに対する親和性が約40%高くなっていた。これら糖輸送体タンパク質の発現変化に伴い、細胞増殖も促進された。以上の結果より、動物細胞は増殖促進の刺激に対応して、糖輸送タンパク質の発現量およびその糖鎖を修飾することにより、エネルギー源としてのグルコースを細胞内へ巧妙に取り込む仕組みを持つことが明かとなった。 また、GLUT1遺伝子の発現変化を種々のヒトがん細胞株で解析した結果、子宮頚癌(HeLa)を含むいくつかのがん細胞において、GLUT1タンパク質の発現異常が認められ、更にこの変化に及ぼす癌抑制遺伝子の関与も示唆された。これらGLUT1遺伝子の発現異常とがん病態との関連を更に検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T.Mure,K.Sano,and T.Kitagawa: "Influence of external ATP on membrane permeability,proliferation and cytotoxicity of antitumor agents in mouse tumor cells." Jpn.J.Cancer Res.83. 121-126 (1992)
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[Publications] A.Masumi,Y.Akamatsu and T.Kitagawa: "Stimulation of glucose uptake and the synthesis of glucose transporter protein in swiss mouse 3T3 fibroblasts by transforming growth factor-β1." J.Pharmacobio-Dyn.15. S-75 (1992)
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[Publications] A.Masumi,Y.Akamatsu and T.Kitagawa: "Modulation of the synthesis and glycosylation of the glucose transporter protein by transforming growth factor-β1 in Swiss 3T3 fibroblasts." Biochim.Biophys.Acta. 1145. 227-234 (1993)
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[Publications] 北川 隆之: "癌化とグルコーストランスポーター。" 代謝. 29(9). 837-844 (1992)
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[Publications] 北川 隆之: "増殖因子による動物細胞のグルコース輸送制御" 蛋白質核酸酵素. 38. (1993)
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[Publications] 北川 隆之: "動物細胞表面膜の透過性調節機構とその薬学的応用" 薬学雑誌、. 113. (1993)
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[Publications] 北川 隆之: "化学と生物の実験と演習 41、「脂質の分析法」、 コレステロール・コレステロールエステル。" 広川書店。, 181 (1992)
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[Publications] 北川 隆之: "新生化学実験講座 6:生体膜と膜輸送(下) (日本生化学会編) ATPによる動物細胞表面膜の透過性変化。" 東京化学同人。, (1992)