1993 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲン不応症におけるアンドロゲンレセプター遺伝子の解析
Project/Area Number |
04671401
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Research Institution | HYOGO COLLEGE OF MEDICINE |
Principal Investigator |
小森 慎二 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60195865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多養 哲二 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60248151)
山崎 則行 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50174644)
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Keywords | アンドロゲンレセプター / アンドロゲン不応症 / 突然変異 |
Research Abstract |
従来よりアンドロゲン不応症についての研究は多くの研究者により報告されているが、その主流は蛋白レベルにおいてであった。1988年にChangらによるヒトアンドロゲンレセプター遺伝子の単離、1989年のKuiperらの同ゲノム遺伝子の単離および構造の解析以来、遺伝子レベルでヒトアンドロゲンレセプターを解析することが可能となってきた。アンドロゲン不応症についても以来多くの遺伝子異常が報告されつつある。本研究において、(1)アンドロゲン不応症(AIS)をしめす4名の患者の末梢血より高分子DNAを分離し、さらに既に報告されているアンドロゲンレセプター(AR)のゲノム遺伝子を参考にして、Polymerase chain reaction(PCR)法のprimerの合成を行ない、その上で、上記primerと患者由来の高分子DNAを基にして、PCR法によりARの各エクソンを増幅分離した。増幅したDNA産物をPCR‐SSCP法を用いてその泳動パターンを正常AR遺伝子と比較する事により異常AR遺伝子の検出を試み、その結果、1症例でGエクソンに泳動のパターンの異常を発見した。(2)DNA塩基配列の決定:分離した各エクソン遺伝子をM13ベクターに組み込みDNA塩基配列を決定した。その結果1症例にてGエクソンに突然変異を同定した。それによりアミノ酸がグリシンよりアラニンへ置換していることが判明した。(3)突然変異AR遺伝子の作製及び細胞への導入:我々が同定した突然変異の部位が実際にAISの原因として重要となりえるかを、in vitroの実験系で確認するため、既に我々が所有する正常ARのcDNAを元に、site‐directed mutagenesis法にて突然変異の作製を現在行っている。また正常AR遺伝子を、発現ベクターpSG5に組み込み、DEAE-dextran法あるいは、エレクトロポレーション法にて動物細胞COS‐1に導入して、それら細胞よりRNAを抽出して、northern blot analysisを行い、導入の条件を検討した。以上の様に、現在さらにアンドロゲンレセプターの点突然変異とアンドロゲン不応症との関連について解析している所である。 本研究でえられたアンドロゲンレセプターの点突然変異を含めて今後様々なアンドロゲンレセプター遺伝子異常を集積し分析していくことにより、アンドロゲン不応症の発生の機構について詳細に解明されていくものと考えられる。そのことからも、本研究で得られた知見は、重要な手掛かりを与えるものと期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山崎,則行ら: "アンドロゲン不応症におけるアンドロゲンレセプター遺伝子について" 産婦人科の進歩. 44. 66-70 (1992)
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[Publications] 赤井ユリコら: "続発性無月経を主訴とする染色体46XYの2症例について" 産婦人科の進歩. 44. 621-624 (1992)
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[Publications] Hiroyuki Kosumi et al: "Single nucleofide substilotion of the androgen reoytor gone in a case with receptor‐pooitive androgen insensitivily syndrome" Acta Endo crnologica. 128. 255-360 (1993)