1992 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血による脳アドレナリン作動性受容体とその遺伝子発現の変化
Project/Area Number |
04671423
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
小林 英幸 産業医科大学, 医学部, 講師 (40148953)
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Keywords | 脳虚血 / 受容体 / 遺伝子 / アドレナリン作動性 / スナネズミ |
Research Abstract |
脳虚血によるα_1、α_2、βアドレナリン性受容体変化、またその遺伝子発現の変化を測定することにより、アドレナリン作動性神経の伝達様式の変化を調べた。 Willis大脳動脈輪の欠損しているスナネズミの左側の総頚動脈をエーテル麻酔下で結さつし、脳虚血動物を作成した。虚血側、対照側および正常動物の大脳皮質および海馬の膜分画を調製しそのアドレナリン作動性性受容体をα_1は^3H-プラゾシン、α_2は^3H-パラアミノクロニジン、β-受容体は、^<125>I-シアノピンドロールを用いて測定した。また、ラットβ_1受容体の塩基配列に基づき、塩基数509のオリゴヌクレオチドをPCR法で作成した。虚血後の脳の各部位のRNAをグアニジンチオシアネート法により調製し、オリゴヌクレオチドをプローブとしてmRNA量を定量した。 左側の総頚動脈の結さつにより海馬のプラゾシン結合量は対照の80%に、パラアミノクロニジンの結合量は50%に、シアノピンドロールの結合量は、80%に減少した。大脳皮質のプラゾシンの結合量は変化しなかったがパラアミノクロニジンの結合量は70%に、シアノピンドロールの結合量は、80%に減少した。この時、対照側の結合量は正常動物の結合量と変わらなかった。5分間結さつ後再還流した一過性の脳虚血では、各結合量は変化しなかった。以上の事から、持続的虚血によりα_1、α_2、βアドレナリン性受容体は、大脳皮質と海馬で異なった変化を示すことが判明した。 一方、持続的虚血により大脳皮質の組織重量当りのβ_1受容体のmRNA量は対照の30%以下に減少した。以上の事から、脳虚血によりβ_1受容体の合成が減少することが判明した。現在、α_1、α_2受容体のmRNAを測定するためのプローブを作製中である。
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