1992 Fiscal Year Annual Research Report
IV型コラゲナーゼ阻害物質の血管新生阻害作用とその応用に関する研究
Project/Area Number |
04671425
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
島村 真里子 (財)東京都臨床医学総合研究所, 化学療法研究部門, 研究員 (00124462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 高明 昭和薬科大学, 衛生化学教室, 教授 (10159303)
芦野 洋美 (財)東京都臨床医学総合研究所, 化学療法研究部, 研究員 (40222608)
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Keywords | 血管新生阻害 / IV型コラゲナーゼ / 酵素阻害物質 / CAM法 |
Research Abstract |
血管新生は、病的には固型腫瘍、糖尿病性網膜症および炎症等の疾病に生ずる。従って血管新生を阻害することによって、これらの疾病を防御あるいは、治療することが期待できる。 故に、強力かつ特異的な阻害物質の出現が待たれている。 申請者は、血管新生の初期過程で酵素によって生ずる血管基底膜の破壊に着目し、これに関与するproteaseを阻害することによって血管新生が阻害できると考えた。 そこで、鶏卵漿尿膜(CAM)を用いて、迅速性・多量処理・定量性に富んだ血管新生測定法(CAM法)を確立し、血管新生の初期過程である基底膜の破壊に関与する分解酵素を解明しようとした。その結果、低分子酵素阻害物質actinoninが強力に用量依存的に血管新生を阻害することを見出した。更に、actinoninは、基底膜主要構成成分であるIV型コラーゲンを特異的に分解する4型コラゲナーゼを強く阻害することを見いだし、IV型コラゲナーゼが血管新生に重要な役割を果たしていることを示唆した。今年度は更に、IV型コラゲナーゼが血管新生過程に深く関与していることを実証しようと試み、新たにactinoninの誘導体を合成し、IV型コラゲナーゼの阻害活性と血管新生阻害活性の相関性を検討した。IV型コラゲナーゼは、血管内皮細胞培養液から部分精製して実験に供した。 血管新生阻害活性はCAM法によった。 両阻害活性は、同様な傾向を示し、相関係数r=0.920で相関性を示した。 これらの活性測定で有効であった誘導体は、内皮細胞によるin vitroの解析で、基底膜の破壊を除く他のステップには作用しなかった。以上から、IV型コラゲナーゼが血管新生に深く関与していることが明らかになった。
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