1992 Fiscal Year Annual Research Report
β_2-ミクログロブリンの尿中不安定性の機序の解明
Project/Area Number |
04671439
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 喜久 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20129026)
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Keywords | 尿中安定性 / pH / β_2-ミクログロブリン |
Research Abstract |
今年度の研究は当初の計画通り、おおむね順調に進められた。以下に概要を示す。 1)尿中β_2-ミクログロブリン(β_2-m)の不安定性について 尿中β_2-mの安定性について、α_1-ミクログロブリン、トランスフェリン、protein1などと比較検討を行った。正常者、および患者尿をPH4.0〜8.0まで調整して室温、4℃保存で4日間、経時的に測定した。この結果、β_2-mはもっとも不安定でPH5.0以下で室温では1日以内(数時間)に抗原性が失なわれた。これに対し、α_1-ミクログロブリンは最も安定でPH4.0で軽度の低下が見られるだけで、この他の蛋白もPH5.0以上ではきわめて安定であった。尿中酸性プロテアーゼの作用として、消化作用を受ける蛋白において、糖鎮の安定にはたす役割は重要であるが(トランスフェリン、α_1-ミクログロブリン)同時に非糖蛋白である。protein1でも安定性が保たれていることは、非糖蛋白であるβ_2-mのもつ特有な構造特性にも不安定性の原因があると考えられた。 2)尿のフラクショネーションによるプロテアーゼ分画の追求 濃縮尿を得て、ConA、イオ交換クロマトで得られた分画について、PHを調正した後、β_2-mを添加して安定性を検討している。現在の所、データ結果にバラツキがあるものの、ConA通過分画、結合分画いずれにも活性があり、今後、再度、新しい尿を用いて検討する必要がある。恐らくは、複数の成分から構成されており、ConA結合、通過のフラクションそれぞれについて、検討が必要となろう。明年度からは、得られたフラクションの再構成実験も行う予定である。
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