1993 Fiscal Year Annual Research Report
beta2-ミクログロブリンの尿中不安定の機序の解明
Project/Area Number |
04671439
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 喜久 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20129026)
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Keywords | beta2-ミクログロブリン / 尿 / 慢性腎不全 / alpha1-ミクログロブリン / ブロテアーゼ |
Research Abstract |
beta2ミクログロブリン(beta2-m)は酸性尿中で極めて不安定で、容易に抗原性を失う。そこで、この機序を解明することにより、尿蛋白測定のための至適なサンプリング、保存法を確立することを最終目標に研究を進めて来ている。本年度の成果、残された研究課題および計画は以下の通りである。1 beta2-mとの比較から、尿中alpha1-microglobulin,protein1,transferrin,intrleukin6,interleukin8などの安定性についても検討を行ない、beta2-mが正常尿、pH6.0以下で抗原性の低下が始まり、最も不安定であることが示された。現在、alpha2-macroglobulin,IgGなどの蛋白の安定性についても検討を行なっている。 2 beta2-mと分子量が近似し非糖蛋白であるprotein1は、正常者尿でpH5.0付近まで安定である。従来考えていられたように、必ずしも糖鎖が安定性に寄与するわけではなく、beta2-mそのものの構造特性(一次構造)が、その不安定性に関連している事が示され、免疫応答におけるHLA抗原の安定性に共通する特性を反映している様に思われる。3 正常者尿に比べ、慢性腎不全患者尿では、安定性が高い。これは、腎機能の低下が進行するにつれて、その構成が血清成分に近似してくると、同時に排泄されてくる血清アンチプロテアーゼの作用により、尿中プロテアーセの作用が抑制されるためと思われる。 4 不安定性に関与する尿中プロテアーゼの同定は困難を極めている。当初、予想したよりもかなり複合の成分から構成されてと思われるが、粗精製は終了しており、今後、アンチプロテアーゼの添加実験などにより成分を絞り込む予定である。
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