1993 Fiscal Year Annual Research Report
癌患者の痛みの測定に関する研究-質的評価に基づく測定尺度の開発
Project/Area Number |
04671452
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小笠原 知枝 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90152363)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 いづみ 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 助手 (00238354)
安藤 詳子 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 助手 (60212669)
渡邊 憲子 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (50126918)
|
Keywords | マックギル痛み測定尺度 / 癌性疼痛 / 痛みのことば / 痛み測定尺度 / 痛み体験 / 情動語 / 信頼性 / 妥当性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、癌患者の痛みを主体的な内的体験として捉え、質的評価に基づく痛みの測定尺度を開発することである。そこで、まずMerzack,R.& Torgen,W.(1971)が作成したマックギル痛み測定尺度の信頼性と妥当性について、痛み表現語に対する看護学生とナースの支持率を検討した。次に、がんと術後の患者が訴える痛み表現語の調査結果から、マックギル痛み尺度の統計的信頼性は高いが、異文化的背景から言語による痛みの数量化は困難であること、また、がん患者の痛みによる心理面を反映させた情動領域が不十分であることが示唆された。 以上の結果から、「がん患者の痛み測定尺度」は、大きく患者用とナース用に分けて作成した。患者用質問紙は次のような3つのカテゴリーから構成させ、がんによる苦痛を質問紙に反映させた。(1)心理的苦痛を痛みの質的側面として捉え、これを言語的表現によって尺度化した。痛み表現語の感覚的領域、情動的領域、その他の領域に分類して、各領域ごとに具体的な痛み表現語を段階的に配列し選択法で評価させた。(2)身体的苦痛を痛みの量的側面として捉え、痛みの強さ、持続時間、深さ、頻度、広がりについて5段階で評定とした。また、苦痛の部位を人体シェーマに記載させた。(3)痛みによる生活への障害を生活的苦痛として捉え、基本的ニードの充足度を5段階で評価させた。ナース用質問紙は患者のプロフィールについて、病歴や治療、生活的背景などの情報収集を内容とした。 開発した「がん患者の痛み測定尺度」の信頼性と妥当性について、がん患者121名を実験群、術後患者68名を統制群として、がん患者の痛みと術後痛の比較、痛みの程度、病名認知の有無、与薬の程度などから分析し検討した。その結果、がん患者の痛みを質的量的に測定できる尺度として満足できるものであることが確かめられた。
|
Research Products
(1 results)