1992 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病による血管障害の分子生物学的解明とその治療に関する研究
Project/Area Number |
04671457
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥田 諭吉 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (60211132)
|
Keywords | 糖尿病 / 血管内皮細胞 / 血管障害 / 高グルコース / ミオイノシトール / アルドース還元酵素阻害剤 / イコサペント酸 / PDGF |
Research Abstract |
糖尿病性細小血管症、動脈硬化症の発症機序の詳細については未だ解明されていない。血管は血管内皮細胞、基底膜、支持細胞などよりなるが、内皮細胞自身の機能が糖尿病により変化を被ることが、その発症機序の原因と考えられている。また糖尿病合併症の成因にPolyol代謝ならびMyo-inositol(MI)代謝の重要性が指摘されている。即ち、糖尿病状態ではSorbitol蓄積やMIが減少することにより、イノシトールリン脂質の代謝回転が円滑に働かず、細胞内情報の伝達に支障をきたして、種々の生理作用に障害が生じることが推定される。そこで糖尿病性血管障害の成因、進展防止を明らかにする目的で高濃度グルコース(G)による血管内皮細胞のミオイノシトール(MI)代謝の影響とアルドース還元酵素阻害剤(ARI)、イコサペント酸(EPA)の効果を検討した。方法:MCDB107培地で培養したヒト臍帯血管内皮細胞を用いた。結果:1)血管内皮細胞(HUE)細胞にAldose reductase(A.R.),Sorbitol dehydrogenase(S.D.H.)活性を確認した。2)HUE細胞の取り込みはNa依存性MI取り込み機構の存在が確認された。Ouabain添加時には、2.5mM以上でMI取り込みの有意な抑制がみられた。一方、インスリン(10^<-6>M)は何ら影響を及ぼさなかった。Gは25.5mMの濃度でNI取り込みを薬25%抑制し、かつ濃度依存性の抑制効果を示した。次いで、アルドース還元酵素阻害剤(ONO2235)、EPAのMI取り込みに対する効果を検討したが、G濃度 55mMにおいて ONO2235、EPAの添加にてMIの取り込みの有意な改善がみられた。3)HUE細胞のPDGF産生量は培養液中のGlucose(G)濃度依存性に有意(p<0.05)な増加を示し(5.5mM 25.2(Fmol/24hrs/dish),13.8mM 40.0,27.5mM 45.8)。高浸透圧対照では、25.9と対照との差を認めなかった。また、phorbol ester添加群では、40.9(p<0.05)と有意に増加した。Northern Analysisでは対照(5.5mM)に対し、高G群、phobol ester添加群では発表量は増加することが判明した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 奥田 諭吉: "イコサペント酸の糖尿病性神経障害に対する有用性とその作用機序についての検討" 糖尿病. 35Sup1. 248- (1992)
-
[Publications] Yukichi okuda: "Hemodynamic effects of cilostazol on peripleral artery in patients with diabetic neuropathy" Arzneim.Forsch./Drug Res. 35(2)7a. 1173-1185 (1992)
-
[Publications] Yukichi okuda: "Evidence for regulation of hepatic ketogenesis in rats by Ca^<2+>-calmodulin messenger system" Diabetes Nutr.Metab.Clin Exp.5(1). 3-8 (1992)
-
[Publications] Masakazu Mizutani: "High glucose and hyperosmolarity increase platelet-Derived growth factor mRNA levels in cultured human Endothelicl cells" Biochem.Biophts.Res.Commun.187(2). 664-669 (1992)
-
[Publications] Yukichi okuda: "Beneficial effects of eicosapentaemoic acid for diabetic patients with arteriosclerosis obliterans" Diabetes res.Clin.pract.18. 139-140 (1992)
-
[Publications] Yukichi okuda: "Eicosapentaenoic acid prevents the inhibition of myc-inositol uptake induced by high glucose Concentrotion in cultuied human enuothelicl cells" Horm.Metab.res.(1993)