1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトTSHレセプターシュータントを用いたTSH受容体抗体の解析-臨床像との比較
Project/Area Number |
04671459
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
寺野 隆 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (70237006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 和夫 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (60241965)
田村 泰 千葉大学, 医学部, 助教授 (90009671)
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Keywords | TSH受容体抗体 / ヒトTSHレセプターシュータント / バセドー病患者IgG / ラットLH-CGレセプター / エピトープ / 甲状腺腫 / バセドー病眼症 / C-AMP |
Research Abstract |
今回は4種類のヒトTSHレセプター/ラットLH-CGレセプターのキメラを作成これをCos7細胞に発現させ、60例のバセドー病患者IgGの甲状腺刺激抗体活性を測定し、これらの刺激抗体(TSAb)のエピトープの多様性について検討を加えた。用いたキメラレセプターは、すでに報告したように、ヒトTSHレセプターの細胞外ドメインを5つのセグメントに分け1から4までのセグメントをラットLH-CGレセプターの相同性のあるセグメントで置換して作成した。この4つのキメラレセプターはすべてTSH刺激に反応してcAMP産性が増加した。セグメント4(アミノ酸260-370)を置換したキメラMc4では60例全例でcAMPの増加を認め、このセグメント4にはTSAbのエピトープは存在しないと考えられた。セグメント2(アミノ酸89-165)あるいはセグメント2と4を置換したキメラMc2、Mc2+4では60例中56例でTSAb活性を認めず、大多数のバセドー病患者ではセグメント2がTSAb活性の発現に重要であると思われた。一方60例中4例のバセドー病IgGではMc2及びMc2+4のいずれのキメラレセプターでもTSAb活性を認め、これらの抗体のエピトープはセグメント2以外にあると考えられた。そこでセグメント1+2(アミノ酸21-165)をLH-CGレセプターに置換したキメラでこれら4例のTSAb活性を測定したところ、2例ではTSAb活性を認めず、他の2例ではTSAb活性は低下していたが陽性であった。よって4例中2例のTSAbのエピトープはセグメント1にあり、他の2例ではセグメント1とそれ以外の部位にエピトープが存在すると考えられた。以上より60例のバセドー病IgGのエピトープをキメラレセプターを用いて解析したところ、バセドー病のTSAbは少なくとも3種類あり、それらは異なるエピトープを認識していると考えられる。現在までのところこの4例のバセドー病患者に関して甲状腺腫、眼症状、臨床経過などで特徴的な所見は見いだされていないが更に症例数をふやして経時的に抗体の種類の変化、臨床像の変化を検討する予定である。またセグメント1+2をさらに小さいセグメントに分割しTSAbのエピトープを詳細に検討する予定である。
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