1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトTSHレセプターミュータントを用いたTSH受容体抗体の解析-臨床像との比較
Project/Area Number |
04671459
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺野 隆 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (70237006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 泰 千葉大学, 医学部, 助教授 (90009671)
田原 和夫 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (60241965)
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Keywords | TSH受容体抗体 / ヒトTSHレセプターミュータント / バセドー病患者IgG / ラットLH-CGレセプター / エピトープ / 甲状腺腫 / パセドー病眼症 / サイクリックAMP |
Research Abstract |
ヒトTSHレセプター/ラットLH-CGレセプターキメラを用いて、バセドウ病の病因である甲状腺刺激抗体(TSAb)のエピトープを検討した結果、94%の症例では、TSHレセプターN端より90-165番目のアミノ酸残基に重要なエピトープが含まれ、約3%の症例では、22-89番目のアミノ酸残基が重要なエピトープであることが判明した。残りの約3%の症例は22-165番目にはエピトープが存在せず、上記以外の166-415番目のアミノ酸残基に相当する部位をLH-CGレセプターに置換したキメラTSHレセプターを新しく作成し、そのエピトープを検討中である。以上の結果より、バセドウ病のTSAbはそれが認識するTSHレセプターのエピトープの違いにより、少なくとも3種類に分類することが可能であることが明らかとなった。また、大多数の症例のエピトープが存在する22-165番目のアミノ酸残基の中で、直接エピトープを構成するアミノ酸残基を同定するために、20〜40個のアミノ酸残基をLH-CGレセプターに置換したキメラTSHレセプターを作成中である。更に260-370番目のアミノ酸残基をLH-CGレセプターに置換したキメラTSHレセプターを用いることにより、これまで検討した60以上のバセドウ病全例がこの部位にエピトープが存在しないことも明らかになった。バセドウ病の臨床所見との関連では、TSAbのエピトープの違いと、甲状腺腫、限局性下腿粘液水腫との関連は認められなかったが、22-89番目のアミノ酸残基をエピトープとする症例では眼症が認められた。しかし、このエピトープを認識する症例は、2例しか見いだされておらず、眼症との関連に関しては更に、多数の症例で検討する必要がある。
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