1994 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞由来プロスタサイクリン産生刺激因子の分離,精製
Project/Area Number |
04671487
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梅田 文夫 九州大学, 医学部, 助教授 (80150431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫 康博 九州大学, 医学部, 助手 (90187104)
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Keywords | PSF / 血管内皮細胞 / PGI_2 / 血管平滑筋細胞 / 糖尿病血管合併症 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
我々が発見した新規な生理活性因子、プロスタサイクリン(PGI_2)産生刺激因子(PSF)の組織内分布を明らかにした。PSFのcDNAプローブを用い、ラットの各臓器におけるPSF mRNAの発現をノザンブロット法にて検討した。肝、心、骨格筋、脂肪、肺、腎と広くPSFの存在が確認されたが、とくに肺と腎で著明であった。さらに、牛動脈由来の培養血管内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞においてもPSFの発現を認めた。一方、抗PSF抗体を用いたウエスタンブロット法による検討では、これらの培養細胞内よりむしろ培養上清にPSF蛋白の存在が証明された。また、PSFのヒト血中での存在も証明された。そこで、ヒト剖検例のPSF免疫組織染色性を検討した。ヒト各種臓器内の動脈壁の平滑筋細胞、血管内皮細胞、あるいは肺の気管支上皮、気管支平滑筋細胞に特異的なPSFの染色性を認めた。以上の成績から、PSFは、生体内組織に広く分布し、とくに、血管壁の細胞(平滑筋、内皮、線維芽)に局在し、これらの細胞で産生、放出され、paracrineあるいはautocrine的に内皮細胞に作用してPGI_2を産生させることが示唆された。次に、PSFの発現異常に関して検討した。心筋梗塞の冠動脈硬化巣におけるPSFの染色性は著明に低下していた。また、ストレプトマイシン誘発糖尿病ラットの腎におけるPSFmRNAの発現も低下していた。さらに、高グルコースでの培養血管平滑筋細胞のPSFmRNA発現も低下することが示唆された。各種の血管障害の成因、病態にPSF異常が関連することが考えられる。現在、新しいより高力価のPSF抗体を作成したので、これを用いたELISA測定系の改良を鋭意に展開中であり、これによりヒト血中のPSF測定を可能とし、糖尿病や動脈硬化症などの各種血管疾患で詳細な臨床検討を続行したい。
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[Publications] Yamauchi T,Umeda F,Masakado M,et al.: "Purification and molecular clening of prostacyelin-stimulating factor from derum-free enditioned medium of human diploid fobroblast cells" Biochem.J.303. 591-598 (1994)
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[Publications] Masakado M,Umeda F,Yamauchi T,et al.: "Human fibroblast cells produce a factor that stimilates prostacyclim synthisis by vascular endthelial cells" Thromb,Res.76. 513-524 (1994)
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[Publications] Ono Y,Hashimoto T,Umeda F,et al.: "Enpression of prostacyclin-stimdating factor,a movel protein,in tissues of Wistar rats and in cultured cells" Biochem.Bioplys.Res.Commun,. 202. 1490-1496 (1994)