1992 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺癌発生における細胞内情報伝達系の役割の遺伝子レベルでの解析
Project/Area Number |
04671490
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
難波 裕幸 長崎大学, 医学部・原研発症予防部門, 講師 (80237635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 俊一 長崎大学, 医学部・原研発症予防部門, 教授 (30200679)
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Keywords | 甲状腺癌 / 分子生物学 / 細胞内情報伝達系 |
Research Abstract |
1.継代甲状腺癌細胞株WRO細胞およびNPA細胞においてイソプロテレノ-ル、プロスタグランディンE2、フォルスコリン、百日咳菌毒素による刺激で細胞内cAMPの産生増加は認められずTSH受容体以後の経路の異常が示唆された。この結果はExp.Cell.Res.に掲載された。 2.正常TSH受容体cDNAを発現ベクタ-に組み込みWRO細胞で過剰発現させ刺激経路が正常化するかどうか調べた。TSHの結合能は増大したが、それにもかかわらず細胞内cAMP産生は増加せず癌細胞における伝達系の障害部位はTSH受容体とGsタンパクの結合障害もしくは結合に必要な第3因子の欠損に基づくものと考えられた。この結果はEndocrinology(1993年2月号)に掲載された。 3.レチノ-ル酸の甲状腺細胞におよぼす作用を調べた。サイロイドパ-オキシダ-ゼおよびサイログロブリンのmRNA及びタンパクレベルでの発現を低下させることが明らかになった。この結果はJ.Endocrinol.Inv.(1993年)に掲載される予定である。 4.ヨ-ドの甲状腺におよぼす効果が調べられた。健康成人男子10名に対して27mg/日のヨ-ド剤の投与を行ない、1ケ月間経過を観察した。甲状腺ホルモンは正常域であるが、有意な低下を示し、一方、血中TSH、サイログロブリンは有意な増加を認めた。それとともに甲状腺の可逆的な腫大が超音波診断装置で調べられた。ヨ-ドが甲状腺腫を引き起こすことを明らかにした。この結果はJ.C.E.M.(1993年2月号)に掲載予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Namba,H.: "Lack of PTH gene(ret proto-oncogene rearrangement)in human thyroid tumors" Endocrinologia Japonica. 38. 627-632 (1991)
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[Publications] Kimura,H.: "Impairment of TSH signal transduction system in human thyroid carcinoma cells" Experimental Cell Research. (1992)
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[Publications] Namba,H.: "Retinoic acid inhibits human thyroid peroxidase and thyroglobulin gene expression in cultured human thyrocyte" Endocrinology. 132. (1992)
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[Publications] Namba,H.: "Overexpression of the intact TSH receptorin a human thyroid carcinoma cell line" Journal of Endocrinological Investigation. (1993)
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[Publications] Namba,H.: "Evidence of thyroid volume increase in normal subjects receiving excess iodide" Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 76. (1993)