1992 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍におけるインスリン様成長因子及びその結合蛋白の異常に関する研究
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04671499
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
肥塚 直美 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (80147397)
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Keywords | インスリン様成長因子(IGF) / IGF結合蛋白(IGFBP) / IGF‐II |
Research Abstract |
IGF(IGF‐I,IGF‐II)は種々の細胞で生出され,autocrineあるいはparacrine的に作用して細胞増殖,分化に重要な役割を果たしている。一方,IGFは血中および組織中ではIGFと特異的に結合する蛋白(IGFBP)と結合して存在する。このIGFBPの役割は単にIGFのresevoirとしてだけでなく,IGFの作用を調節していると考えられている。腫瘍細胞においてもIGFおよびIGFBPが産出されているが,これらIGFsおよびIGFBPsが正常と異なっているとの報告もある。本研究では腫瘍抽出物および腫瘍患者の血中IGF‐I,IGF‐IIおよびIGFBPsのheterogeneityについて検討した。まず,低血糖を呈する膵外腫瘍(non‐islet tumor hypoglycemia;NICTH)について検討した。健常人では血清を酸処理し酸性条件下でゲル濾過(Bio‐Gelp‐60)すると,IGF‐IIの大部分は本来の分子量7.5kDaの部分に溶出するが,NICTHでは殆どが大分子量(約17kDa)のIGF‐IIで占められた。腫瘍中IGF‐IIも同様に大分子量のIGF‐IIであった。又,最近,開発したIGF‐IIのWestern immunoblot法による解析では、NICTHでは血清中IGF‐IIの殆どは11〜18kDaの分子量のIGF‐IIであり,症例により多少サイズが異なっており,これは糖鎖の違いによると考えられた。血中IGFBPsについてWestern ligand blot,Western immunoblotで検討すると,NICTHではIGFBP‐2の増加が認められた。また,腫瘍の摘出により低血糖の消失した症例では血中IGFBP‐3の増加が認められた。一部の症例ではIGFBP‐3のプロテアーゼ活性の増加が認められた。これらのIGFBPsの変化が低血糖の発症の機構に関係していると考えられた。低血糖を呈さない腫瘍患者血清中のIGFBP‐2は増加を認めた。今後,更に検討を進める予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Asakawa K et al.: "Effects of insulin-like growth factor I or human growth hormone in fasted rats." Growth Requlation. 2. 40-44 (1992)
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[Publications] 肥塚 直美: "GH結合蛋白,IGF結合蛋白" 日本内分秘学会雑誌. 68. 1073-1081 (1992)
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[Publications] Fukuda I: "Characterization of insulin-like growth factor II (IGF‐II) and IGF binding proteins in patients with non-islet cell tumor exypoglycemia" Endorine J. (1993)