1992 Fiscal Year Annual Research Report
CSF産生腫瘍におけるIL-1遺伝子発現の病因的役割
Project/Area Number |
04671521
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 隆幸 京都大学, 医学部, 助手 (50127099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 紀士子 京都大学, 医療技術短期大学部, 助手 (20115900)
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Keywords | CSF産生腫瘍 / G-CSF / IL-1 / IL-6 / IL-1αレセプター / IL-1レセプターアンタゴニスト / 転写促進因子 |
Research Abstract |
CSF産生腫瘍におけるCSF遺伝子異常発現のメカニズム、特にIL-1の役割につき検討し、以下の結果を得た。 1.20種のヒト肺ガン細胞株を用い、IL-1α産生レベルとG-CSFおよびIL-6産生能の関係を検討した。IL-1αを構成的に産生している細胞株ではG-CSF、IL-6産生が認められたが、IL-1αの産生が無い細胞株ではG-CSF、IL-6産生は認められなかった。後者の細胞株の場合、外来性IL-1α刺激によりG-CSF、IL-6を産生する細胞株と、全く反応しない細胞株の2群が認められた。自己および外来性IL-1α刺激に反応してG-CSF、IL-6を産生する細胞株ではIL-1αレセプターの発現が認められるのに対し反応の無い細胞株ではレセプター発現はみられなかった。以上より、CSF産生腫瘍は構成的に多量にIL-1、G-CSF、IL-6を産生するものから、外来性IL-1に反応してG-CSF、IL-6を産生するものまで、多様な産生様式を含んでいることが考えられた。 2.CSF産生腫瘍株の培養にhydrocortisoneを添加するとIL-1αの産生がある程度抑制され、これに応じてG-CSF、IL-6産生が低下した。IL-4を添加した場合、IL-6産生のみが抑制された。IL-1レセプターアンタゴニストを添加するとIL-1α産生は影響されなかったが、G-CSF、IL-6産生は著明に抑制された。 3.KHC287細胞株は構成的に多量の上記3種のサイトカインを産生しているが、IL-1α遺伝子の増幅や再構成を認めず、一方、IL-1α遺伝子上流に結合する転写促進因子の異常活性化や産生亢進がIL-1α遺伝子異常発現の原因と考えられた。今後、NF-IL6等の他の転写促進因子との相互関係につき検討を行う予定である。
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[Publications] A.Suzuki,T.Takahashi,et al.: "Liver damage in patients with colony-stimulating factor (CSF)-producing tumors." American Journal of Medicine.
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[Publications] A.Suzuki,T.Takahashi,et al.: "Thrombocytosis in patients with tumors producing colony stimulating-factor." Blood. 80. 2052-2059 (1992)
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[Publications] A.Suzuki,T.Takahashi,et al.: "IL-1 production as a regulator of G-CSF and IL-6 production in CSF-producing cell lines." British Journal of Cancer. 65. 515-518 (1992)
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[Publications] 高橋 隆幸,鈴木 聡,福本 学,坂根 剛: "CSF産生腫瘍における肝障害" 日常診療と血液. 2. 1090-1093 (1992)