1992 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスDNA分子によるヒト白血病の遺伝子治療に関する基礎的研究
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04671531
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
前川 平 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80229286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 章 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (60210001)
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Keywords | アンチセンス / 白血病 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
平成5年3月中旬までに得られた知見は以下のごとくである。 (1)in vitroでアンチセンス効果を発現させるためには、2.5〜5.0μMの濃度が必要であり、数回の実験のために数百0.D.のDNA分子を精製しなければならないことが明らかとなった。そこで、in vitroの実験に必要なDNA分子の大量精製方法をあらたに確立した。この大量精製方法は、核磁気共鳴法にてプロトンのレベルでみても不純物は混入しておらず、化学的に純粋な物質であることがわかった。また、精製したホスホロチオエート型DNA分子は血清中でもきわめて安定であることがわかった。 (2)慢性骨髄性白血病の患者から得られた白血病細胞を、b3a2,b2a2のmRNAに対するアンチセンスDNA分子とともに培養したところ、特異的に腫瘍細胞の増殖を抑制することが確認された。 (3)c-myc,c-mybアンチセンスDNA分子はHL60の増殖を抑制し、c-myc蛋白の産生を低下させることが分かった。 (4)現在の方法で合成、精製されるホスホロチオエート型DNA分子は20μM以上の濃度では、正常の造血幹細胞の増殖を非特異的に抑制することがわかった。この非特異的な増殖抑制はDNA合成や精製の過程で混入したものではなく、ホスホロチオエート型DNA分子自体の作用であると考えられる。 (5)アンチセンスDNA分子の3'端を蛍光色素(FITC)で標識し、細胞膜透過性を検討したところ、37℃では細胞質内に到達するが、4℃では細胞膜を通過しなかった。すなわち、細胞膜透過性はエンドサイトーシスなど何らかの機構を介しているものであることがわかった。さらに、アンチセンス分子の蛍光は細胞質内にドット状に散在して認められるところから、細胞質内の一部(たとえばリボゾーム)に特異的に局在している可能性が考えられた。 以上の研究結果は、第51回日本癌学会総会、第2回アンチセンス・シンポジウム等において発表した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Maekawa,Taira: "Synergistic suppression of the clongenicity of U937 leukemic cells by combinations of recombinant human interleukin 4 and granulocyte colony stimulating factor." Experimental Hematology. 20. 1201-1207 (1992)
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[Publications] 前川 平: "アンチセンスオリゴヌクレオチドによる白血病細胞の増殖抑制と分化誘導" BIOmedica.
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[Publications] 前川 平: "Antisense oligonuclestidesによる白血病細胞の増殖抑制" 血液・腫瘍科.