1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト白血球膜抗原CD75の機能とその発現機構の解析
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04671534
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中村 充 自治医科大学, 医学部, 講師 (20198237)
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Keywords | 白血球膜抗原 / Bリンパ球細胞株 / シアル酸転移酵素 / 骨髄球系細胞株 / 細胞接着 / 糖鎖抗原 / 細胞分化 |
Research Abstract |
ヒト白血球膜抗原CD75は、成熟Bリンパ球細胞の表面膜抗原として知られていた。最近CD75は、α2→6シアル酸転移酵素依存的に発現するシアル酸含有糖鎖抗原で、B細胞間の相互作用に関係しているとされている。我々は、α2→6シアル酸転移酵素のメッセージと活性およびそのプロダクトの発現を系統的に解析し、次のことを明らかにした。(1)成熟B細胞株では、α2→6シアル酸転移酵素のメッセージ、活性およびそのプロダクトであるNeuAcα2→6GalとCD75陽性細胞、CD75陽性糖蛋白質の発現が、極めてよく相関していた。これはα2→3シアル酸転移酵素とそのプロダクトが全く相関していなかったことと好対照であった。(2)骨髄球系細胞株の単球系分化時にもα2→6シアル酸転移酵素とCD75陽性糖蛋白質が発現していた。即ち、B細胞株と違ってT細胞株および骨髄球系細胞株では、α2→6シアル酸転移酵素のメッセージも酵素活性も殆ど発現していなかったが、単球系に分化誘導した場合に、α2→6シアル酸転移酵素のメッセージと酵素活性およびそのプロダクトであるCD75陽性糖蛋白質(63kDa)の経時的な発現亢進が認められた。更に、免疫蛍光染色法でもCD75陽性細胞が観察された。以上のことから、リンパ球系細胞株のみならず骨髄球系細胞株の単球系分化時にも、CD75陽性糖蛋白質が何らかの機能を果たしていることが強く示唆された。(3)骨髄球系細胞株の単球系分化時に発現するメッセージは4.7kbと1.8kbで、Bリンパ球系細胞株における4.3kbとは明らかに異なったサイズであった。分子生物学的解析から、4.7kbと4.3kbは蛋白をコードする部位の5'側の違いによるもので、4.7kbと1.8kbはオルターナティブスプライシングによるものであることが示唆された。
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[Publications] Nakamura,M.et al.: "Total Metabolic Flow of Glycosphingolipid Biosynthesis Is Regulated by Activities of UDP-GICNAC:Lactosylceramide β1→3 N-Acetylglucosaminidase and CMP-NenAc:Lactosylceramide.α→3Sialyltvansferase in Human Hematopoietic Cell Line HL-60 During Differentiation." J,Biol.Chem.267. 23507-23514 (1992)
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[Publications] 中村 充 他: "糖転移酵素活性発現とHL60細胞の分化方向制御." 脂質生化学研究. 34. 105-108 (1992)
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[Publications] Nakamura,M.et al.: "Ganglioside GM3 Can Induce Megakaryocytoid Differentiation of Human Leukemia Cell Line K562 Cells" Cancer Res.51. 1940-1945 (1991)
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[Publications] 中村 充 他: "蛋白質・核酸・酵素別冊「複合糖質-細胞認識から病態まで」" 共立出版, 8 (1992)
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[Publications] 中村 充 他: "ガングリオシド研究法「ガングリオシドの生物活性研究法」及び「ガングリオシド代謝研究法」" 学会出版センター, (1993)