1992 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒リンパ球性白血病におけるNKSFの増殖作用とサイトカインネットワークの検討
Project/Area Number |
04671537
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
星野 茂 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30159131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 直樹 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20241078)
寺村 正尚 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40188686)
押味 和夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40089991)
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Keywords | 顆粒リンパ球性白血病 / NKSF / IL-2 |
Research Abstract |
顆粒リンパ球性白血病(granular lymphocyte leukemia)は、胞体にアズール顆粒を有する顆粒リンパ球が増加する慢性リンパ性増殖性疾患であり、細胞表面マーカーからT細胞型とNK細胞型に大別される。本年度の研究として、T細胞型顆粒リンパ球性白血病、および、NK細胞型顆粒リンパ球性白血病細胞の増殖に対するNK細胞刺激因子(natural killer cell stimulatory factor:NKSF)の作用を検討した。顆粒リンパ球性白血病患者末梢血よりフィコールコンレイ比重遠心法にて顆粒リンパ球性白血病細胞を分離し実験に用いた。顆粒リンパ球性白血病細胞は、96穴プレートに1x10^5個/well濃度で10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培養液に各濃度のNKSFを単独、あるいは、TPAなどと同時に添加培養し、4〜7日後に^3H‐thymidineの取り込みを測定して増殖能の指標とした。結果は次の通りである。(1)NKSF単独添加では顆粒リンパ球性白血病細胞の増殖はほとんど誘導されなかった。しかし、TPA存在下では、NKSFは10〜1,000u/ml濃度で顆粒リンパ球性白血病細胞の増殖を有意に誘導した。この増殖作用は、T細胞型顆粒リンパ球性白血病で明らかであったが、NK細胞型顆粒リンパ球性白血病では、わずかであった。(2)IL‐2とNKSFを同時に添加すると、IL‐2による顆粒リンパ球性白血病細胞の増殖作用は、やや抑制される傾向にあった。また、このNKSFによるIL‐2の抑制効果はNK細胞型顆粒リンパ球性白血病で明らかであった。顆粒リンパ球性白血病細胞の増殖を誘導するサイトカインとしてIL‐2がよく知られているが、NKSFもTPA刺激下でT細胞型顆粒リンパ球性白血病細胞の増殖を誘導することが示された。また、IL‐2により誘導されたNK細胞型顆粒リンパ球性白血病細胞の増殖に対してNKSFが抑制的に働いたことは、NKSFの作用が状況により異なっていることを示唆しており興味深い。
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Research Products
(1 results)