1992 Fiscal Year Annual Research Report
血小板活性時におけるα顆粒膜糖蛋白の機能の免疫電顕的研究
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04671543
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
鈴木 英紀 (財)東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部門, 研究員 (30158977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 一夫 東京大学, 薬学部・生体異物免疫化学教室, 助手 (20174782)
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Keywords | 血小板 / 活性化 / α顆粒 / 膜糖蛋白 / GPIIb / IIIa / 粘着性蛋白 / 免疫電顕 |
Research Abstract |
血小板α顆粒には10種類以上の蛋白が存在し、血小板活性時に放出される。なかでもフィブリノゲン、von Willebrand因子およびフィブロネクチンは、血小板表面膜の膜糖蛋白(GP)IIb/IIIa複合体に結合する。一方、GPIIb/IIIaはα顆粒膜上にも存在するが、その存在意義についてはほとんど知られていない。そこで、トロンビン刺激時におけるα顆粒膜GPIIb/IIIaとα顆粒内蛋白の相互関係を知るために、GPIIb/IIIaと各蛋白との分布を二重染色による免疫電顕法で検討した。 無刺激血小板のフィブリノゲンはα顆粒の基質に均等に分布するが、トロンビン刺激後、α顆粒膜に沿うように変化し、α顆粒膜GPIIb/IIIaと一緒に分布したするようになった。このフィブリノゲンとGPIIb/IIIaの共存は、顆粒放出後における開放小管系の膜上および表面膜上でも検出された。von Willebrand因子はフィブリノゲンと比べると少量しか検出できなかったが、トロンビン刺激時の動態は、フィブリノゲンと同様な分布を示し、GPIIb/IIIaと一緒に分布した。すなわち、フィブリノゲンとvon Willebrand因子は、顆粒に放出過程でα顆粒膜GPIIb/IIIaに結合し、この結合体のまま表面膜に出現することが示唆された。一方、トロンビン刺激後のアルブミンは、α顆粒中、開放小管系または表面膜のGPIIb/IIIaと共存することなく単独に検出され、さらに放出反応が進行した時点ではほとんど検出されなかった。すなわち、アルブミンは胞体外に単に放出されると考えられた。トロンボスポンジンも血小板活性化直後、アルブミンと同様にGPIIb/IIIaとは別々に存在したが、放出反応が進行しても開放小管系中に残存し、表面膜では検出されなかった。 以上の所見から、α顆粒内蛋白の放出反応における動態には三種類が存在し、フィブリンノゲンおよびvon Willebrand因子はα顆粒膜GPIIb/IIIaと結合後、この結合体のまま表面膜に移動すると結論された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Suzuki H,Nakamura S,Itoh Y,Tanaka T, Yamazaki H and Tanoue K: "Immunocytochemical evidence for the translocation of α-granule membrane glycoprotein IIb/IIIa (integrin α_<IIb>β_3)of human platelets to the surface membrane during the release reaction." Histochemistry. 97. 381-388 (1992)
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[Publications] 鈴木 英紀: "血小板膜糖蛋白の免疫電顕法による解析" 日本血栓止血学会誌. 3. 202-209 (1992)
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[Publications] 鈴木 英紀,田上 憲次郎: "血小板膜糖蛋白(GP)IIb/IIIa複合体の構造と機能" 医学のあゆみ. 160. 681-684 (1992)
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[Publications] 鈴木 英紀: "血小板α顆粒蛋白の動態" 臨床病理(臨時増刊特集第92号). 1-14 (1992)
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[Publications] 鈴木 英紀: "血小板の構造と機能" 日本臨床. 50. 218-222 (1992)