1993 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧下に於けるマイクロクラスターイオンの質量分析法の開発
Project/Area Number |
04680001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯沼 恒一 東北大学, 工学部, 助教授 (40005484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 義之 東北大学, 工学部, 助手 (00005480)
武部 雅汎 東北大学, 工学部, 教授 (30005392)
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Keywords | 気相イオン化学 / 質量分析計 / イオンスウォーム / クラスターイオン / 移動度 / 拡散係数 / イオン・分子反応 |
Research Abstract |
1. 大気圧下でのマイクロクラスターイオンの質量分析を行う為の理論計算。 ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、及び酸素の5種類の気体を対象とし、それらに関連するイオン種の平均自由行程、輸送係数、そしてイオン・分子反応の動的過程を、イオンスウォーム理論に基づき検討した。更に、ドリフトチューブを設計する目的で、特にアルゴン中のリチウムイオンとナトリウムイオンの輸送・反応特性について詳細に検討した。この検討過程に於て、2種類のイオン種の動的平衡過程に現在まで知られなかった輸送係数と反応速度定数に関する重要な情報が含まれていることを認め、この詳細をカナダ化学会誌に発表した。 2. ドリフトチューブ及びRFフィルタの設計・製作並びにそれらの基礎特性測定。 3種類のRFフィルタを製作し、それらの基礎特性を測定する為にドリフトチューブを製作した。熱イオン放出型イオン源を用い、イオン電流の増減とRFフィルタの周波数との関係を調べ、高周波領域でイオンが抜ける興味深い事実を発見した。この成果を日本物理学会平成4年度秋の分科会(放電)で報告した。 3. RFフィルタの高圧力下に於ける動作確認とその原理の実証、及び主論文の投稿。 半年に渡る試行錯誤の後、厚さ0.05mm、幅2mmの金リボンを間隔2mmで8枚張り、この間に周波数125kHz-3MHzの駆形波を印加し、移動度の差を積極的に利用してクラスターイオンを同定するRFフィルタのアイディアに思い至った。これをリチウムイオン/炭酸ガス系に応用したところ、1MHzで軽いリチウムイオンは殆ど捕獲され、重いリチウム・炭酸ガスクラスターイオンのみがRFフィルタを通過する質量弁別効果を実験的に確認した。この詳細を論文にまとめ、International Journal of Mass Spectrometry and Ion Processes(英国)に投稿した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Iinuma: "Mathematical analysis of reactive ion transport in dynamic equilibrium:The case of two ionic species." Canadian Journal of Chemistry. 70. 1604-1611 (1992)
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[Publications] 飯沼恒一: "イオンスウォームと原子・分子衝突" 電気学会誌. 112. 469-472 (1992)
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[Publications] K.Iinuma: "Analysis of reactive ion transport in dynamic equilibrium." Progress Report(Atomic Collision Research in Japan). 18. 95-96 (1992)
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[Publications] K.Iinuma: "Design of a new electrical shutter for drift-tule experiments." Progress Report(Atomic Collision Research in Japan). 19. 109-110 (1993)