1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680062
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
仲西 正 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (90198143)
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Keywords | 消臭 / 含金属繊維 / アクリル繊維 / 悪臭物質 / 銅 / コバルト |
Research Abstract |
近年,汗のにおいや,オムツの尿臭気などを除去する目的で数多くの新しい金属を含む繊維(含金属繊維)素材が開発されている.本研究では,含金属繊維の消臭機構解明を目的に,繊維中の金属の種類,量,存在状態とにおいモデルの吸着,分解挙動を定量的に議論し,加えて,消臭効果を持つ含金属繊維の設計指針となる基礎的知見を得た. 1.アクリル繊維を塩化銅,塩化コバルト,塩化鉄などの金属塩で処理することにより含金属繊維を調製した.アクリル繊維としては,通常の共重合成分の少ない繊維(R-繊維)と,アクリル酸を20%含む繊維(A-繊維)の2種類を用いた. 2.調製した含金属繊維は,アンモニア,エチルメルカプタンに対して消臭効果を示したが,アセトアルデヒドには効果がなかった.ESP測定より,アンモニアでは金属との錯体形成による吸着,エチルメルカプタンでは酸化分解が行われたことが示唆された. 3.におい物質モデルとして過酸化水素を用いて含金属繊維の触媒能を調べた。含金属繊維は,過酸化水素を吸着かつ分解し,特徴的な分解速度のpH依存性を示した. 4.金属錯体を含む繊維中での金属の配位構造を推定するため,ポリアクリロニトリルを金属塩で処理したフィルムを調製し,紫外可視および赤外吸収スペクトルにより調べた. 5.以上の1〜4の結果より,繊維中の金属量あたりの速度で比較すると,R-繊維では銅を含むものが,また,A-繊維では銅とコバルトを含む繊維が消臭効果が大きかった.しかし,詳細に検討すると,モデル物質の分解速度と実際のにおい物質の消臭能の間おいて差異が認められ,含金属繊維に担持させる金属に選択においては,悪臭物質に対する触媒活性のみならず吸着能も合わせて考慮することの必要性が示された.
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