1992 Fiscal Year Annual Research Report
食品中の水の存在状態に関する研究 -主として近赤外吸収法による結合水の測定法の基礎的検討-
Project/Area Number |
04680085
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
野口 駿 共立女子大学, 家政学部, 教授 (50086708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 之紀 共立女子大学, 家政学部, 助手 (50226015)
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Keywords | 近赤外吸収 / アルギン酸ナトリウム / ばれいしょでんぷん / 水分活性 / 単分子層吸着水 / 多分子層吸着水 |
Research Abstract |
食物繊維としてアルギン酸ナトリウム、食品素材として馬鈴薯でんぷん(生)を用い、種々の塩類飽和水溶液により水分活性Aw0-0.85に保持させたデシケータ中に恒量に達するまで恒温保持し測定に供した。本年度補助金により購入のPIER光学式水分測定装置を用い、波長1449nm(比較波長1300nm)及び1927nm(1796nm)のフィルターで測定した。 (20℃) アルギン酸ナトリウム、でんぷんとも吸収強度(任意単位)を含水量(乾量基準)に対してプロットするといずれの波長においても2-3の屈折点を持つ線分群になるが、水分活性に対してプロットするとアルギン酸ナトリウムでは両波長とも測定の全領域で直線関係を示す。でんぷんでは両波長で若干のズレはあるがAw0.3-0.4において屈折する2つの直線に分けられる。 水分活性は系内の水の平均的な活量を示すものであるから、吸収強度が存在する水の活量に比例することは妥当な結果が得られたと考えられる。また全領域で一本の直線を示すことは水の結合状態によって吸収強度が変わらないことを、二本の直線に分かれることは低Awと高Awとの結合状態で吸収強度に違いのあること、そしてこの屈折がほぼ単分子層吸着水から多分子層吸着水に移行する付近であることから単分子層吸着水と多分子層吸着水とで吸収強度に違いのあることを示唆していると思われる。このことから、吸着された水の状態によって吸収状態に違いのある場合とない場合とがあり得ると考えられ、これが基質と水との相互作用の強さの違いによるのか、被覆状態の差によるのかなどさらに検討を要する。 なお、本測定に用いたヘッドは直径10cm、厚さ1-2cmの多量の試料を必要とするため、測定し得る材料に極めて大きな制限を受ける。今後、より少量の試料で測定可能なように改良を進める予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 佐藤 之紀、野口 駿: "水溶性食物繊維水溶液中における濁りの出現" 共立女子大学家政学部紀要. 38. 97-101 (1991)
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[Publications] Yukinori Sato,Shun Noguchi: "Bound water in water-soluble dietary fibers by pulsed NMR and isotherm method" J.Home Econ.Jpn.44. (1993)
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[Publications] Yukinori Sato,Shun Noguchi,Setsuko Takahashi,Fumiko Naito,Hiroshi Naito and Naoyoshi Tanaka: "Temperature dependency of physical proper ties of chicken white muscle in relation to proton relaxation on vacuum cooking" J.Home Econ.Jpn.44. (1993)
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[Publications] Yukinori Sato,Shun Noguchi: "Water sorption characteristics of dietary fibers" J.Home Econ.Jpn.44. (1993)
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[Publications] 野口 駿: "食品と水の科学" 幸書房, 274 (1992)