1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680088
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
岡村 浩 昭和女子大学, 家政学部, 教授 (60102654)
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Keywords | 魚鱗(うろこ) / コラーゲン / 脱カルシウム / 魚鱗のタンパク質 / 魚鱗よりのゼラチンの調製 / アミノ酸組成 / 造形材料 / コラーゲン線紙の交絡 |
Research Abstract |
氣仙沼魚港で回収されたマイワシの乾燥魚鱗を試料とした。夾雑している魚体・内臓等乾燥物を取り除いた後,60メッシュで篩別し徴細な魚鱗を分離した。魚体の表面を被覆している粘質物が乾燥により固化しており、単なる水洗では除去されないため緩和なアルカリ処理による精製を行った。化学分析値は水分16.2%,粗タンパク質19,8%,脂質47%,灰分57.2%であった。精製した魚鱗のアミノ酸組成は,グリシン,アラニン,オキシプロリンを多量に含みコラーゲンが主体である。また,このコラーゲンはアミノ酸組成よの1型に属するものと考えられた。走査型電子顕微鏡によると格子状に重ね合さったコラーゲンフイブリルより形成され,皮に見られる交絡は認められなかった。魚鱗の脱カルシウムは,希塩酸溶液による短時間の浸漬により完全に行われ,この点,家畜や鶏の骨に比較してカルシウムのコラーゲンとの結合状態が著しく異なる。1%塩酸溶液による1時間程度の浸漬によりほぼ完全に脱カルシウムされ,これより全窒素の70%程度がゼラチンとして抽出される。このゼラチンは濃縮し凍結乾燥することにより,冷水にも完全に溶解する良質の固型ゼラチンを調製することができた。更に0.1%塩酸溶液による1時間の浸漬により全カルシウム含有量の1/4〜1/3程度を除去し,含金染料あるいは酸性染料で染色後少量の塩基性硫酸クロムを添加することにより魚鱗の形状を固定し,造形材料としての利用方法を見出した。これを利用し,床材,建物内壁あるいはテーブルの表面板等の装飾に利用できる透明度の高い造形装飾材料を製造することができた。更に魚体・内臓および粒度の細かい魚鱗の混合物の飼料としての予備実験を行った。 以上の研究実績の一部は,日本家政学会平成5年度大会で発表する予定である。
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