1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04680128
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
調枝 孝治 広島大学, 総合科学部, 教授 (00017782)
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Keywords | 運動制御 / 秩序パラメータ / 系列パターン学習 / 見越反応 |
Research Abstract |
運動制御の階層レベルには、(1)フィードバック制御、(2)適応制御、(3)自己組織制御がある。本研究の目的は、系列パターンの追従課題を用いて、これらの3つの制御過程で生起する秩序パラメータとして見越反応の進化プロセスを自己相関関数やパワースペクトル密度関数から検討し、秩序パラメータが運動制御過程で果たす役割を明らかにする。〔方法〕実験1では、秩序パラメータ(見越反応)の発生パターンを検討するため、大学生男子35名を用いて、フィードバック制御過程で251364の系列位置をもつ標準パターンを1系列1試行として、100試行追従させた。さらに、実験2では、フィードバック制御過程で生起する見越反応が、構造パラメータの変化する適応制御過程でどのような役割を果たしているかを検討するために、大学生男子18名を用いて、フィードバック制御過程で標準パターンを50試行、さらに、系列位置の変化がある251346の終期変更パターンを50試行追従させた。〔結果〕実験1・2の主要な結果は、以下のように要約できる。 実験1では、系列パターンの学習が進むと4つの反応測度は、無反応、誤反応、正反応、見越反応へと相転移しながら秩序パラメータが進化することがわかった。自己相関は、タウが大きくなるにしたがって反応の周期が長くなり、パワースペクトルは、1/f型を示した被験者が多かった。さらに、興味ある知見は、秩序パラメータとしての見越反応のゆらぎ(分散)が大きく、このゆらぎが自己組織制御への移行に重要な役割を果たしていると考えられた。実験2のフィードバック制御過程の結果は、実験1の結果と大略同じであった。しかし、適応制御過程の見越反応のゆらぎ(分散)の大きい被験者が、相対的にそうでない被験者より、適応が優れていた。これらの結果は、秩序パラメータの進化の変動性が系を秩序づける重要な役割を果たしているといえる。
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