1992 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱性エンテロトキシンとその受容体蛋白質間の相互認識機構の解明
Project/Area Number |
04680160
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾崎 宏 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (90116012)
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Keywords | 耐熱性エンテロトキシン / ST受容体蛋白質 / 螢光標識 / 膜蛋白質の精製 |
Research Abstract |
毒素原生大腸菌の産生する耐熱性エンテロトキシン(ST)は人・家畜に急性の下痢を引き起こすペプチド毒素として知られている。STは小腸上皮細胞膜上の受容体蛋白質と結合することにより、その受容体蛋白質と一体と成っているグアニル酸シクラーゼが活性化され、細胞内cGMPの濃度を上昇させ、最終的に下痢に至らせるものである。本研究はSTによる小腸上皮細胞膜上の受容体蛋白質を介した情報伝達過程の第一段階であるSTとその受容体蛋白質間の相互認識機構を解明するため、受容体蛋白質のSTとの結合部位の同定ならびにX-線結晶構造解析のための受容体蛋白質とSTとの複合体の結晶化を行うことを目的としている。本目的を遂行するために、本年度は1)受容体蛋白質に固定するための光反応性基と標識基をもった各種STアナログの合成を行い2)これらの各種STアナログから受容体蛋白質への結合能の高いものを用いて受容体蛋白質を標識化し、標識化ST-受容体蛋白質複合体の精製法を確立することを計画した。各種STアナログについて検討したところ、STの活性ドメインであるSTp(5-17)を合成した後さらにアミノ酸を導入し、ここに蛍光標識化する方法により、最も良好な結果が得られた。現在、光反応性基の導入が可能で、なおかつ天然STに匹敵する受容体蛋白質への結合能を有する蛍光標識化STアナログの合成に成功している。このアナログの定量は数十フェントモルまで可能であり、このアナログを用いることにより蛍光標識を用いたSTの結合アッセイ系の確立が可能となりつつある。第二の目標であるST-受容体蛋白質複合体の精製法については、蛋白質を精製するに際して最も有効であると期待されるアフィニティカラムクロマトグラフィにおいて蛍光を有する分画を得ている。現在、複合体の精製法を確立するために各種カラムクロマトグラフィについての条件検討を進めている。
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